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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechZineオンラインセミナー

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イベントレポート(STEAM教育)

「STEM」を意識した授業デザインを、教科「英語」で――同志社中学校の反田教諭による実践

 2019年12月にGIGAスクール構想が発表され、学校現場でのICT活用の加速が期待される。とは言え、1人1台のPC・タブレット環境がどのような学びを実現するかイメージできない学校現場も多いだろう。すでにICT環境を整え授業での活用を重ねている学校の状況は大きな参考になる。2月5日~7日開催の「大塚商会 実践ソリューションフェア2020」では、広くITソリューションの展示やセミナーが行われる中、教育関連の話題も登場した。本稿では2月6日に開催された同志社中学校の反田任教諭によるセミナー「STEMを意識した授業デザイン」をレポートする。

同志社中学校 反田任教諭
同志社中学校 反田任教諭

同志社中学校・高等学校のICT環境

 同志社中学校・高等学校では、現在全生徒がiPadを1人1台利用し、授業やさまざまな活動で使用している。iPad活用のスタートは2012年にさかのぼり、1人1台の環境は2014年の新中学1年生よりスタートし、3年がかりで全中学生に整えた。2017年には高校でもiPadの活用を始め、翌年の2018に生徒用のPC貸出機としてMacBook Air40台を整備、状況に応じて併用している。いまでこそ全校で活用しているとは言え、段階的に導入してきた軌跡が見える。

 全教室にWi-Fiとプロジェクターを整備し、どこでも手軽に使える。データはクラウドで管理しているが、当初大手のソリューションは存在しなかったため、独自に学習ポータルサイトを構築して運用してきた。生徒の端末はMDMで一括管理し、本年度からは「Apple School Manager」を導入したためさらに利便性が高まった。

 「こうしたハード・ソフト両面での環境作りは、パソコンやiPadに苦手意識のある先生のハードルを下げ『普段使い』ができるようにするために大切です」と反田教諭は振り返る。

 また、ICTの導入はハードありきではなく、まず「どのような教育(授業)を行うか?」というビジョンを持つことが重要だと指摘した。その上で「ICTはどのように活用するか?」その実現には「どのようなICT環境が必要か?」とステップを踏んで考えるのだ。

 例えば、同校ではiPad活用のビジョンとして「学びの基礎・基本」の「ABC」をキーワードとして共有している。

  • Active Learning(アクティブラーニング)
  • Blended Learning(オンライン・eラーニングの要素を取り入れたブレンド型学習)
  • Co-Creative Learning(共創する学び)

 GIGAスクール構想においてもハード面に目が行きがちだが、機器やネットワークが整っても、活用の必要性を感じていない現場では生かされない。このようなビジョンを共有することで、ICT機器の使いどころをすべての先生がイメージできるようにするのは大切だろう。こうした意識の地盤作りは、これからハードの整備にとりかかる自治体や学校には大いに参考になるはずだ。

ICTの普段使いが生きた英語の授業

 校内のICT推進役を務める反田教諭は、中学校の英語を担当している。自身の英語の授業におけるICT活用が紹介された。

英語学習用ロボット

 英語の授業において、生徒の発話量を増やすことはひとつの課題だ。そこで「Musio X(ミュージオ エックス)」というAI搭載の英語学習用ロボットを活用し、会話や復唱などの練習に使っている。管理機能では生徒の発音間違いの確認ができるので、教師は傾向を把握して指導に生かすことができる。

オンラインサービス

 フィリピンを拠点にする「レアジョブ英会話」のオンライン英会話システムを活用し、生徒3人対先生1人のグループレッスンを授業時間内に行う。また、動画で英語表現を学び発話判定ができる「English Central」のサービスを、自主学習を中心に活用している。レッスン内容や教材の選定は反田教諭自身が行いサービス側に任せているわけではない。また、Appleの「iTunes U」を活用し教材を配信しているので生徒は教材にアクセスしやすい。

4技能の連携

 年に数回、テーマに沿ったフリーライティングの課題を出すが、この採点もアウトソーシングしている。採点を依頼するため、ていねいにルーブリック(評価基準)を定め、生徒にもその基準を開示するという。添削を受けた文章は、生徒が各自「iTextSpeaker」というアプリで読み上げ音声を確認しながら、スピーキングの練習をする。さらに、内容に即したインタビューテストをオンライン英会話を通じて行う。ライティングに始まるひとつの流れで4技能の連携をしているわけだ。

 ロボットやアプリを使ったりアウトソーシングしたりすると聞くと「丸投げ」するイメージを持ちがちだが、決してそうではないことががわかる。先生が1人で290名もの個別指導をすることは物理的な限界があっても、テクノロジーを活用することで、できることの分量や可能性はがらりと変わる。ここで紹介した手段の中には、公立の学校では高価で手の出せないものもあるだろうが、無料や安価なアプリ、サービスなど、通信環境さえあればすぐにでも利用できるものもあり、参考になる。

次のページ
STEMを取り入れた授業デザインとは?

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この記事の著者

狩野 さやか(カノウ サヤカ)

 株式会社Studio947のデザイナー、ライター。ウェブサイトやアプリのデザイン・制作、技術書籍の執筆に携わる。自社で「知りたい!プログラミングツール図鑑」「ICT toolbox」を運営し、子ども向けプログラミングやICT教育について情報発信している。著書に『見た目にこだわる Jimdo入門』(...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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