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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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未来の学校現場考──教員のサステナブルな働き方を考える

越境する先生たちのリアル──学校の外とつながると、何が変わる?

未来の学校現場考──教員のサステナブルな働き方を考える 第8回

 「学校の先生は世間を知らない」「学校は閉じた世界だ」──そんな言葉を耳にすることがあります。一方で「学校の外に出てみたい。でも、何をすればいいのかわからない」「教育以外の世界を知りたいけれど、時間がない」と感じ、なかなか一歩を踏み出せない先生も多いのではないでしょうか。学校は構造的に、外部との接点が少なくなりやすい環境です。前年度のやり方を引き継ぎながら日々の業務を回していく中で、新しい発想や他分野との交流を持つ機会が限られてしまう現状があります。しかし、そのような中でも、学校以外の場に関わる「越境」の動きが少しずつ広がっています。今回は、先生たちのキャリア支援を行ってきたクジラボ代表・森實泰司さんに、越境する先生たちのリアルについて伺っていきます。

株式会社クジラボ 代表取締役 森實泰司(もりざね だいじ)氏

 株式会社リクルートで採用コンサルタント、ITベンチャーで人事責任者経験後、人事コンサルタントとして独立。現在も人事顧問に従事するなど、教員をはじめ数多くの転職者と関わる。2019年に学校法人の事業を承継し私学経営を行うかたわら、2021年に教員のキャリア支援事業を行う株式会社クジラボを創業。ミッションは教育のオープン化。

学校は「閉じた世界」なのか

──「学校の先生は世間を知らない」「学校は閉じた世界だ」と耳にすることがあります。なぜそのように言われてしまうのでしょうか?

 学校は、子どもたちの安心・安全を守る場所として、安定が何より重視されてきました。急激な変化は避け、前例に倣って慎重に物事を進める文化が根付いています。それのすべてが悪いというわけではなく、そうした積み重ねが現場の秩序や信頼感を支えている面もあるでしょう。

 一方で、民間の世界では、常に「社会(外部環境)は変化している」ことが前提にあります。マーケットの変化に合わせて最適化する力が問われ、仕組みや価値観もアップデートされていきます。そうしないと生き残れないからです。

 それに比べると、学校は仕組みや価値観が長い間アップデートされていないと感じる場面があります。例えば「男だから」「女だから」といったジェンダーに関する固定観念や「とにかく3年は根性でがんばれ」といった昭和的な働き方の精神論、あるいは「昔からこうしてきたから」といった前例主義が、何の疑問もなく受け継がれていることも少なくありません。「ほかではこうやっているらしいよ」という話が出ても、「うちの学校では前例がないから難しいよね」と、すぐにはね返されてしまう場面もあります。学校の中だけで完結するロジックが強く、外からの知見や変化を受け入れるハードルが高いという構造が、「学校は閉じている」という印象につながっているのかもしれません。

──実際に働いている先生方は、どう感じていらっしゃるのでしょうか?

 多くの先生方は、「子どもたちにとって何が一番よいか」を真剣に考えながら、日々の業務に誠実に向き合っていらっしゃいます。だからこそ、時に立ち止まり「このやり方は今の子どもたちに合っているのだろうか」「もっとできることがあるのでは」と悩まれることもあります。しかし、新しいことを提案しても受け入れられにくい雰囲気や、「前例がないから難しい」という空気の中で、次第に声を上げること自体を諦めてしまうケースもあるようです。

──この状態が続くと、どのような課題が生まれると思いますか?

 変化に向き合う機会がないまま働き続けていると、知らず知らずのうちに考えが固定化してしまい、「この世界の常識がすべて」と思い込んでしまう危うさがあります。そうなると、自分の中に違和感があっても、それを疑ったり、問い直したりする視点が持ちづらくなってしまうんです。

 だからこそ、もっと気軽に外とつながる「越境」という考え方が大切だと思います。外の世界に触れることで、「そんな考え方もあるんだ」「こういうやり方もあるんだ」と、これまで気づけなかった選択肢や価値観に出会える。そうした気づきが、自分の考えを深めたり、目の前の子どもたちとの関わりを見直したりするきっかけにもなります。

次のページ
なぜ今、先生の「越境」なのか

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この記事の著者

津田 迪加(ツダ ユカ)

 公立小学校教員を11年経験後、教育の現場で培ってきた傾聴スキルや言語化スキルを生かし、フリーランスライター・編集者として活動中。株式会社クジラボに2021年創業時より携わり、教員向けイベントの企画・運営も行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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