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イベントレポート(EdTech動向)

データ漏洩を防ぐ、GIGA端末の安全な処分方法とは? 適切に処分できている自治体はわずかという結果に

 GIGAスクール構想第2期に向けて、児童生徒の1人1台端末(以下、GIGA端末)の更新が進められつつある。そこで課題となるのが、古い端末の処分方法だ。6月19日、一般社団法人児童生徒のデータプライバシー協会は、メディア向けに「教育委員会のGIGA端末処分の実態調査」の説明会を開催した。同法人は、児童生徒のデータを保護し、GIGA端末処分時における情報漏洩リスクゼロを目指して活動している。説明会では理事の佐原忠史氏(ブランコ・ジャパン株式会社 会長)と塚本幸治氏(リネットジャパングループ株式会社 執行役員)が、安全なデータ消去方法や、GIGA端末処分の現状を解説した。さらに、佐賀県多久市の市長で、全国ICT教育首長協議会の会長を務める横尾俊彦氏を交えて、意見交換を行った。本稿でレポートする。

GIGA端末処分の現状は? 国も求める「適切な処理」

 児童生徒のデータプライバシー協会は、GIGA端末の更新時に情報漏洩リスクがあることの啓発と、適切な端末処分・データ消去方法の周知を中心に活動する法人で、2025年1月31日に設立された。多久市長の横尾氏は、専門委員として参画している。

左から、一般社団法人児童生徒のデータプライバシー協会 理事 塚本幸治氏、多久市長/全国ICT教育首長協議会 会長 横尾俊彦氏、一般社団法人児童生徒のデータプライバシー協会 理事 佐原忠史氏
左から、一般社団法人児童生徒のデータプライバシー協会 理事 塚本幸治氏、多久市長/全国ICT教育首長協議会 会長 横尾俊彦氏、一般社団法人児童生徒のデータプライバシー協会 理事 佐原忠史氏

 説明会では、まず塚本氏が同法人が誕生した背景として、GIGAスクール構想の状況や、国のGIGA端末の処分方針を説明した。

 2025年度から2027年度にかけて、小中学校に導入された約950万台のGIGA端末が更新時期を迎える。これは国内の新品パソコン出荷台数に匹敵する規模であり、大規模な処分が必要となる。その際、端末に残された児童生徒のデータについては漏洩を防がなければならない。

 2023年10月、文部科学省・経済産業省・環境省は連名の事務連絡として、全国の都道府県教育委員会に対し「小型家電リサイクル法等での処分」と「確実なデータ消去等の徹底」の方針を発出した[※1]。また文部科学省は、第2期端末整備計画における補助金要網の条件として、GIGA端末の処分方法・データ消去方法を記載したリサイクル計画の策定・公表を義務付けており[※2]、情報漏洩を防ぐ万全の対策が求められている。

 同法人が2024年11月、小中学生の子どもがいる保護者687人に独自調査を行ったところ、82%の人が子どものデータ流出を不安に思う一方で、GIGA端末内のデータの処分方法を知っている人は30%にとどまった。そして、78%の保護者が専門業者による処理を求めている結果となった[※3]

 加えて、この1年間、教育現場では複数の情報漏洩事例が発生している。例えば、大阪府藤井寺市ではGIGA端末などが接続するネットワークのアカウントが不正アクセスを受け、約5000人分の児童生徒の学習データや写真データが流出する可能性が生じた。その結果、約1カ月の間児童生徒の端末の利用が禁止された。また、富山県富山市ではGIGA端末で回答した、いじめに関するアンケート結果が一時的に閲覧可能な状態となり、沖縄県宮古島市では処分予定のパソコンからSSD(記憶媒体)が抜き取られ、児童生徒の約20~40人分の情報を含む個人情報が流出する可能性が生じた。さらに、鹿児島県鹿児島市では適切なデータ消去が行われなかったため、前の利用者のGIGA端末に保存されていた写真データが閲覧可能になる事例が21件報告されたという。

[※1]GIGAスクール構想の下で整備された1人1台端末等の適切な処分(再使用又は再資源化)等について」(文部科学省)

[※2]公立学校情報機器整備事業に係る各種計画の策定要領」(文部科学省)

[※3]【8割以上の保護者が学習用端末のデータ流出に不安ありと回答】GIGAスクール端末処分時におけるデータ漏えい対策に向け「児童生徒のデータプライバシー協会」を発足。」(PR Times)

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SSDに穴をあけるだけではNG! 物理破壊の問題点と安全なデータ消去方法

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この記事の著者

森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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