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イベントレポート(EdTech動向)

データ漏洩を防ぐ、GIGA端末の安全な処分方法とは? 適切に処分できている自治体はわずかという結果に

GIGA端末処分の実態は? 教育委員会への調査結果に見る

 このように、安全なデータ消去方法は時代とともに変わっているが、佐原氏によると「日本では現在も物理破壊の件数が多い傾向にある」という。

 児童生徒のデータプライバシー協会では、2025年4月24日から5月12日の期間、全国1787の教育委員会を対象に(有効回答数104)、「GIGAスクール端末処分に関する実態調査」を実施している。その結果の詳細を塚本氏が解説した。

 データの消去方法として、最も安全とされる「ソフトウェアによる消去」を実施している自治体はわずか12.5%に過ぎず、「初期化・リセット」や「磁気消去」といった適切とは言えないデータ消去を行う自治体は23%、「物理破壊」で対応する自治体は20.2%にも上った。加えて、データ消去方法を「未検討」とする自治体も28.8%存在しており、塚本氏は「検討していないこと自体がリスクとなる」と警鐘を鳴らす。

GIGA端末のデータ消去方法は?
GIGA端末のデータ消去方法は?

 GIGA端末の処分方法として、最も多かったのは「納品ベンダーまたは保守業者による処分・下取り」で、そのうち35%が調達時に処分もセットで委託している。

 実際にデータ消去を担当するのは外部委託の業者が多いが、一部では自治体職員が実施している場合もあり、端末の台数が多い中で職員が実施することによるリスクも懸念される。

 また、データ消去が問題なく行われているかどうかを確認する方法としては、情報漏洩リスクが残る「資産管理番号が区別できない証明書」の取得にとどまる自治体が多い。

 データ消去の工数と予算に関しては、データ消去作業のための予算確保が十分でなく、無償での委託を予定する自治体も存在する。当然、適切な予算がなければ適切なデータ消去が実施されない可能性が高くなってしまう。

 保護者への報告については、積極的な情報提供を予定する自治体は少ないものの、問い合わせがあれば情報提供する予定の自治体が3割強存在する。

 端末の処分やデータ消去に関する課題については、適切に対応するために必要な情報の不足や、事業者がわからない・見つからない、予算が確保できないといった課題が挙がった一方で、「課題はない」という回答が多数を占めた。これについて、塚本氏は「課題感を持っていないこと自体が課題とも考えられる」と述べた。

処分/データ消去に関する課題は?
処分/データ消去に関する課題は?

「適切な処分方法」について理解し、確実な予算確保が必要

 続いて、多久市長の横尾氏を交えて「データ消去予算確保の必要性」をテーマに意見交換が行われた。

 塚本氏は「予算を確保するために、GIGA端末の処分でどのような作業が必要なのかを正しく理解しなくてはならない」と指摘。まずは適切な処分の方法を理解することの重要性を訴えた。

 佐原氏は、データ消去ソフトにかかる費用が1台あたり1000円程度と、比較的安価であり、ほかのセキュリティ対策にかかるコストと比べると低額であることを説明。当然、台数に応じてコストはかかるが、中途半端な廃棄方法によって生じるリスクは最終的に自治体トップの責任問題につながる可能性がある。「自治体関係者の中には、まだ危機感を持っていらっしゃらない方もいるが、私たちのような団体がリスクについてしっかりと説明することで、予算を確保していただけると思う」と語った。

 横尾氏も予算確保には理解が重要であることに同意したうえで、「とりあえず」で考えるのではなく、処分に数年かかる見込みがあったとしても、覚悟を持って取り組む必要性を訴えた。

 最後に塚本氏が「GIGA端末廃棄に関する提言」を発表。児童生徒のデータプライバシー協会としては「1件のデータ漏洩も起こさないGIGA端末の処分」を目標に掲げるとした。そのうえで「もし1件でも漏洩が起きてしまったら、当事者の子どもたちがどのような気持ちになるのかを考えるべきだ」と語り、「大人の都合」による情報漏洩を許してはならないと、強い意志を表明した。

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この記事の著者

森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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