はじめに
前回公開した記事「総合的な学習の時間に生成AI「Gemini」と「NotebookLM」を活用し、児童の思考を深める」では、Googleの生成AIを活用して、児童自身の問いを深める対話的な振り返りの実践を紹介しました。多くの先生方から「AIが壁打ち相手になることで、子どもたちの思考が整理される様子が興味深い」といった反響を頂きました。
一方で、「毎回AIに複雑な条件を指示するのは大変ではないか」「自分のクラスの実態に合わせてもっと調整したい」といった意見も耳にします。そこで今回は、自分専用のGemを作成する手順を丁寧に解説します。この記事を読みながら手を動かせば、自分だけの頼れる「相棒」が完成します。
※Gemとは、特定の目的(例:「振り返り専用」「疑問出しサポート」)に合わせて、先生がAIの指示(プロンプト)を事前設定できる、Google Geminiのカスタマイズ機能です。
既存のGemを自分用に改造(リミックス)する
Gemを使ってみる
まずは、実際に作成されたGemを動かしてみましょう。以下のリンクをクリックしてGemを開き、子どもになったつもりで「振り返り」を入力してみてください。
リンクを開くと、Gem「総合ふりかえりくん」が開きます。ここで、児童になりきって振り返りを入力してみましょう。すると、Gemが思考を深めるためのアドバイスや問いかけを返してくれます。
自分のGemとしてコピーを作成する
このGemをベースにして、自分の学校の実態に合わせた「自作Gem」に改造していきましょう。 まず、Geminiの画面の左サイドバーにある「Gemを表示」をクリックします。「共有アイテム」の欄に今開いたGemがあるので、名前の横にある「︙(縦3点リーダー)」をクリックし、「コピーを作成」をクリックします。編集画面が開いたら、まずは「名前」を自分のわかりやすいものに変更しましょう。
AIで中身を書き換える
Gemの挙動を決めるカスタム指示を編集します。自分で直接書き換えてもよいのですが、複雑な指示文の全体像を把握せずに手作業で修正すると、エラーが起きたり意図しない動きになったりすることがあります。そこで、カスタム指示の変更もAIに任せてしまいましょう。
まずGemの編集画面にあるカスタム指示のテキストをすべて選択し、コピーします。新しいタブでGeminiを開き、「思考モード」にします。チャット欄にテキストを貼り付け、その下に続けて「このGemのカスタム指示はどのような動きをしますか?わかりやすく教えてください」と入力・送信し、生成されるのを待ちます。
具体的な変更をAIに依頼する
生成結果を読んである程度内容が理解できたら、変えたい部分をAIに伝えます。今回は例として、振り返りの評価観点を8つから4つに減らしてみます。
チャット欄に「観点を8つから4つに減らしたいです。5番から8番の観点は削除して、残りの4つの中だけで判定するように指示文を書き換えてください」といったプロンプトを追加して送信します。しばらく待つと、AIが修正版のカスタム指示を生成してくれます。
修正した指示を適用する
生成されたコードをコピーしたら、先ほどのGem編集画面に戻り、「カスタム指示」の欄をすべて削除してコピーしたコードを貼り付けます。プレビュー画面で振り返りを入力して、観点が4つに変わっているか試してみましょう。問題なければ「更新」をクリックして作業完了です。
このように、「コピーしてAIに解説させ、AIに修正させる」という手順を踏めば、プロンプトの専門知識がなくても、安全かつ簡単に自分好みのツールを作ることができます。

