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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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GIGAスクール構想時代における学級担任のススメ

個人情報の入力リスクや回答を丸投げしてしまう不安──「生成AI」を安心して使うための授業設計とは?

GIGAスクール構想時代における学級担任のススメ 第16回

 GIGAスクール構想で導入された1人1台端末は、学校の授業や校務のあり方を変える大きな可能性を持っており、子どもたちのポテンシャルを引き出すツールにもなり得ます。本連載では小学校の学級担任である筆者が「日常的にICTを活用した学級経営のあり方」について、担任としての心得や実際の活用事例を紹介しています。前回は、授業に生成AIを取り入れる際に大切なことをお伝えしました。連載最終回となる今回は、個人情報を守りながら、子どもに安心して生成AIを使わせるための授業設計について考えていきます。

「名前を隠す」から「自分をデザインする」へ

一郎
さて、前回の続きだったね。前回は、子どもたちが触れる前に先生が使い方を示すことの重要性について考えたわけだけど、今回は、いよいよ子どもたちに使わせる際の留意点について考えていこう
はい。やっぱりどこかで不安に感じている部分もあって……特に個人情報の入力と、授業の作り方について詳しく知りたいです
一郎
よし、ではそのあたり、詳しく見ていこう。まずは個人情報の入力からだ。子どもたちが無意識のうちに個人情報を入力してしまうリスクは、完全にゼロにすることはなかなか難しい。だからこそ、まずは子どもたちでも安全に使える環境を用意する必要があるんだ
安全に使える環境とは、どのようなものでしょうか?
一郎
例えば、自分の市町村や都道府県がGoogle Workspace for Educationを使っている場合。教育用アカウントでログインしたGeminiは、入力した情報がAIの学習に使われないことを謳っているものが多いんだ(※注:契約形態や管理者設定によります)。同じようにMicrosoftの環境でも、教育用アカウントで使うCopilotは学習への非利用が保証されている。だから、万が一子どもが個人情報を入力してしまっても、それがAIの知識として吸収されて、見知らぬ誰かの回答に流出してしまうような二次拡散のリスクを下げられるようになっているんだよ
なるほど。それは安心できます
一郎
とはいっても、多くの自治体では学習者用コンピュータが接続するインターネット環境において「個人情報は取り扱わない」というポリシーになっていることがほとんどだから、技術的に守られているからといって、入力していいということにはならない。そこは注意が必要だね
ということは、技術的な面だけでなく、運用のポリシーとしての問題になってくるわけですね
一郎
その通り。ポリシーを守りながら、いかに学びを豊かにするか。ここが腕の見せ所だ
となると、例えば外国語の授業で「自己紹介」を取り扱うときなどはどうしたらいいのでしょうか。名前といった個人情報は、どうしても打ち込むことが予想されます
一郎
そうだね。だからちょっと発想を転換してみよう。例えば、公開してよい情報を集めた「ペルソナ」の自己紹介を考えるんだ
ペルソナ?
一郎
そう。インターネットの世界で活動するための「公開用の自分」をデザインさせるんだよ。本名の代わりにニックネームを使う。住んでいる市町村名ではなく「日本の小学生」と抽象化する。でも、好きな食べ物や、いま夢中になっているゲームのことなど、相手に知ってもらいたい「本当の自分の要素」はしっかりと残すんだ
なるほど! それなら個人を特定される心配はないし、自己紹介の文章としても十分に成り立ちますね
一郎
その通り。完全に架空のキャラクターになりきって「私は桃太郎です。きびだんごが好きです」と英語で書くのも表現活動としては面白いけれど、それだと外国語教育における「自分のことを伝える」という本来の目標から少しズレてしまうかもしれないからね
確かに。あくまで「自分のこと」をベースにしながら、出す情報と出さない情報を分けるわけですね

授業モデル:二層構造の自己紹介

  1. 本当の自分を整理する(ノートなど非公開の場):まずは、自分のありのままの情報を書き出します。
  2. 公開してよい情報を選び直す(フィルタリング):「これは世界中に見られても安全かな?」と問いかけ、情報を削ったり、ニックネームに置き換えたりします。(例:山田太郎 → ニックネーム、◯◯町 → in Japan)
  3. 英語で「公開用自己紹介」を作る
  4. その内容を生成AIに入力し、表現の相談をする
でも、実際に本名を入れてしまう子も出てきそうですね
一郎
出てくるよ。以前、自己紹介の中に学校名まで書いて入力してしまった子がいた。でもそのときこそ、「どこまでが公開してよい情報かな?」と一緒に考える機会になったんだ。この「選び直す」工程こそが、生きた学習になる。安全対策を指導者の押し付けにするのではなく、子ども自身の学びに変えるんだ。情報を抽象化する力は、物事を俯瞰して見る思考力そのものだからね

次のページ
AIを「答え装置」にしないための問いの設計

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この記事の著者

鈴谷 大輔(スズヤ ダイスケ)

 公立小学校教諭。プログラミング教育の教員コミュニティ「Type_T」代表。みんなのコード プログラミング教育 養成塾(2019夏期集中コース)修了。プログラミング教育関連のイベント運営に複数携わる。放送大学「Scratchプログラミング指導法」ゲスト出演。Maker Faire Tokyo 201...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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