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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

次回のオンラインセミナーは鋭意企画中です。準備が整い次第、お知らせいたします。

EdTechZineオンラインセミナー

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子どもも教師もワクワク! デジタルツールで生まれる令和の学び

プログラミング不要、Googleの無料AIツールで「校務お助けアプリ」を開発!

子どもも教師もワクワク! デジタルツールで生まれる令和の学び 第19回

 「デジタルでもアナログでもできることはまずはデジタルで」をモットーに、数多くのデジタルツール・教材を活用する、公立小学校教諭の前多昌顕先生。本連載ではさまざまなツールの活用実践について、連載形式でお伝えします。第19回では、Googleの無料ツールを使って、校務を効率化するアプリを作る方法をご紹介します。プログラミング経験がなくても、生成AIとのやり取りのみでアプリを作ることが可能です。(編集部)

はじめに

 教師の仕事は、授業準備から生徒指導、保護者対応、そして山積みの事務作業まで、多岐にわたります。市販のアプリは多機能すぎて使いにくかったり、自分の働き方に微妙に合わなかったりすることも少なくありません。「それなら、自分で作ってしまおう!」──この記事は、そんな思いを簡単に実現するためのガイドです。プログラミング経験がまったくない教師でも、Googleの無料ツール「Google AI Studio」と「Google Apps Script」(以下、GAS)を使って、校務を効率化する自分だけのWebアプリを開発する手順を、初心者向けに一から丁寧に解説します。

 開発に入る前に、今回活用する2つの強力な無料ツール、Google AI StudioとGASについて簡単に紹介します。Webアプリのためインストールは不要で、普段使っているGoogleアカウントですぐに始められます。

Google AI Studio

 Google AI Studioは、最先端の設備が整った「AIの実験室」のような場所です。ここでは、Googleが開発した最新のAIモデル(「Gemini」など)を、専門知識がなくとも、無料で試すことができます。テキストだけでなく画像や音声も扱うことができ、自然な日本語で指示を出すだけで、AIがどのような応答をするかを手軽に実験できます。授業計画のアイデアを出してもらったり、教材の文章を考えてもらったりと、教育活動のさまざまな場面で創造性を引き出す手助けをしてくれるツールです。

Google Apps Script(GAS)

 Google Apps Script(GAS)は、Googleの各サービスを連携させ、自動化するためのプログラミング機能です。これを使えば、普段使っているスプレッドシートやGmailなどを連携させ、さまざまな作業を自動化できます。例えば「Googleフォームで受け付けた回答をGoogleスプレッドシートに自動転記し、関係者にメールで通知する」といった定型業務をプログラムに任せられます。今回は、このGASを、AIが生成したプログラムコードを動かすための「作業場」として活用します。

教育現場におけるAI活用で注意すべきこと

 AIは強力なツールですが、その活用には光と影があります。特に無料で利用できるサービスには、その仕組みを理解し、慎重に扱うべき点が存在します。開発を始める前に、教育者として必ず守るべきルールを確認しましょう。

【メリット】無料で高度なAI機能を活用できる

 Google AI Studioの最大の魅力は、Gemini 2.5 Proのような非常に高性能なAIモデルを無料で利用できる点です。これにより、予算の制約を気にすることなく、質の高い教材の草案を作成したり、校務自動化のアイデアを試作したりと、予算がゼロでもAI活用の可能性を探ることができます。

【デメリットと絶対的なルール】個人情報や機密情報を入力しない

 「無料」であることには理由があります。無料版のGoogle AI Studioに入力した内容は、GoogleのAIモデルの性能向上のために利用される可能性があります。これは、私たちがサービスを無料で使える代償とも言える仕組みですが、児童生徒の個人情報や学校の機密情報を扱う教育現場では、極めて重大なリスクとなります。

 特に、以下の情報は絶対に入力してはいけません。

  • 個人を特定できる情報:児童生徒や保護者の氏名、住所、電話番号、写真など
  • 機微な記録:児童生徒の成績や健康診断の結果、家庭環境、指導記録など
  • 学校内部の機密情報:教職員の人事評価、非公開の会議録など

 これらの情報を、保護者の明確な同意なく生成AIなどの外部サービスに入力することは、個人情報保護法や文部科学省の「初等中等教育段階における生成 AI の利活用に関するガイドライン」に抵触する可能性が非常に高い行為です。AIを利用する際は、必ず情報を匿名化・一般化する癖をつけましょう。この原則を心に刻んだ上で、安全で役に立つWebアプリ開発に挑戦しましょう。

次のページ
「振り返り入力アプリ」を開発する

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この記事の著者

前多 昌顕(マエタ マサアキ)

 五所川原市立五所川原小学校教諭、青森県プログラミング教育研究会発起人で事務局長。初任の頃よりICTの教育活用に興味を持ち研究を進める。いったんICT教育と距離を取り、研究対象を思考ツールにしたが、プログラミング教育必修化をきっかけに再開する。マイクロソフト認定教育イノベーターエキスパート2018-...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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