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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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子どもも教師もワクワク! デジタルツールで生まれる令和の学び

特別な環境は不要! 学校の「話し合い活動」をGoogleのAI「NotebookLM」で分析する

子どもも教師もワクワク! デジタルツールで生まれる令和の学び 第18回

 「デジタルでもアナログでもできることはまずはデジタルで」をモットーに、数多くのデジタルツール・教材を活用する、公立小学校教諭の前多昌顕先生。本連載ではさまざまなツールの活用実践について、連載形式でお伝えします。第18回では、授業中に子どもたちが話し合った内容を、生成AIを活用して分析する方法をご紹介いただきます。(編集部)

はじめに

 学校では、話し合い活動が極めて重視されています。その背景には、AIの台頭などにより社会が複雑化し、予測困難な時代を生き抜くために、新たな能力が求められていることがあります。知識を覚えるだけでなく、多様な人々と協力して答えのない問題に取り組む「生きる力」を育むことが不可欠となり、その力を養う最も効果的な学習活動として、話し合いが位置づけられているのです。

 しかし、その重要な話し合い活動を、1人の教師がすべてのグループにわたって十分に把握することは、どんなに指導の技量がある教員でも、実質的には不可能と言っても過言ではありません。

 実際、多くの先生方がこの点にもどかしさを感じており、筆者自身もこれまでうまくできた経験がありません。教室を巡回し、断片的に聞こえてくる会話から評価せざるを得ず、議論のプロセスを正確に捉えることは、複数の目で見とる研究授業ですら難しいのが実情でした。

 ところが、GIGAスクール構想と生成AIの発展によって状況は大きく変わりました。子どもたちが1人1台端末を持つようになったことで、各グループの話し合いを録音し、その音声データをクラウドで集約し、AIで分析するという一連の流れが、学校で使っている無料のツールだけで実現可能になったのです。

 この記事では、子どもたちの話し合いを録音し、GoogleのAIツール「NotebookLM」で分析することで、客観的なデータに基づいた指導を実現する具体的な方法をご紹介します。特別な機材や費用は不要で、「Google Workspace for Education」を導入しているGIGAスクール環境であればすぐに実践できる内容です。

 これにより、今まで見えにくかった「話し合い」をデータとして可視化でき、話し合い全体としてどのような傾向にあったのか、グループごとにどのような議論がなされていたのか、また、活発だったグループや停滞していたグループはどこかなどを客観的に把握し、より的を射た指導やフィードバックにつなげることができるようになります。

「Padlet」で手軽に音声データを集める

 まず紹介するのは「Padlet」を使った方法です。手軽に始められるため、最初の試みとしておすすめです。

教師の準備(ボードの作成と設定)

 Padletを開いて「白紙のボードを作成」をクリックし、ボードにタイトルを入力します。フォーマットを選択して「列」を選び「完了」をクリックします。「セクションを追加」で、話し合う内容ごとに列を作成します。その後、右サイドバー「設定」をクリックします。

ボードの作成手順
ボードの作成手順

 続いて「投稿フィールド」を開き、投稿欄をカスタマイズします。

 「タイトル」を選び、「件名のプレースホルダーテキスト」に「グループ名やペア名を入力してください」といった説明を記入し、「必須」をオンにして「保存」をクリックします。「添付ファイル」を選び、「カスタム」をクリックして「オーディオレコーダー」のみをオンにし、「保存」をクリックします。「本文」を選び、「非表示」にして「保存」をクリックします。これで子どもたちが迷わず使えるようになります。

投稿欄の設定手順
投稿欄の設定手順

 準備ができたら、右上の「共有」パネルを開き、「ボードへのリンクをコピー」をクリックします。このリンクを「Google Classroom」などで子どもたちに共有します。

子どもたちへの共有手順
子どもたちへの共有手順

子どもたちの利用(録音と投稿)

 話し合いを始める前に各グループの代表者1名が共有されたPadletを開き、自分たちのグループの列にある「+」ボタンをクリックします。「件名」にグループ名を入力し、「オーディオレコーダー」をクリックして録音を開始します。このとき、端末をグループ全員の声が均等に入るよう、中央に置くとよいでしょう。

 話し合いが終わったら、録音を停止し、右上の「再生&保存」をクリックします。必要に応じて内容を確認し、再度「保存」をクリックした後、「公開」をクリックします。これでボードに音声が投稿されます。

録音の手順
録音の手順

教師の作業(音声ファイルの収集)

 すべてのグループの投稿が終わったら、Padletの「共有」パネルを開きます。下にスクロールし、「エクスポート」欄にある「すべてのファイルをダウンロード」をクリックします。ダウンロードされたZIPファイルを展開(解凍)すると、フォルダ内に全グループの音声ファイルが保存されています。これらのファイルを、次のステップであるNotebookLMでの分析に使用します。

音声ファイルのダウンロード手順
音声ファイルのダウンロード手順

活用のコツ

 この方法の最大の利点は、操作が非常に直感的で、子どもたちがファイルを自分で保存・提出する必要がなく、教師の元にデータが自動的に集約される点です。

 注意点として、Padletの無料プランを利用している場合、1回あたりの録音時間は最長5分間に制限されています。5分以内で完結する短い意見交換や、ペアでの対話活動などで試してみるのがよいでしょう。

次のページ
Webアプリで時間無制限の録音を実現する

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この記事の著者

前多 昌顕(マエタ マサアキ)

 五所川原市立五所川原小学校教諭、青森県プログラミング教育研究会発起人で事務局長。初任の頃よりICTの教育活用に興味を持ち研究を進める。いったんICT教育と距離を取り、研究対象を思考ツールにしたが、プログラミング教育必修化をきっかけに再開する。マイクロソフト認定教育イノベーターエキスパート2018-...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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