高宮学園 代々木ゼミナールの教育情報センターは、受験指導や進路指導に携わる全国の高校教員を対象に実施した「年内学力入試」に関する意識調査の結果を、11月18日に発表した。同調査は、9月26日〜10月3日の期間に行われ、370名から回答を得ている。
調査対象者に、「年内学力入試が拡大していることは好ましい」という意見が自身に当てはまるかを尋ねたところ、「当てはまらない」と「あまり当てはまらない」を合わせた割合は66.2%を占めた。一方で、「当てはまる」という回答は4.6%に留まっている。
設置者別では、公立高校において否定的な傾向が顕著に多く、私立では「当てはまる」と「やや当てはまる」を合わせた割合が4割超を占め、肯定的な意見が一定数みられた。
出願割合別でみると、30%未満の高校では否定的な立場が7割超に達したものの、30%以上では6割弱に留まっている。
地域別では、関西と中四国で肯定的な割合が高く、その他の地域は否定的な割合が高い。否定的な割合の高い北海道や東北では、「学校の情報収集力による差が出たり、指導体制に差がある学校間で不公平が拡大する懸念がある」「教育課程、授業担当者の授業の進め方や方針、居住している地域の状況などにより、年内学力入試を受験する時点での完成度に差が出るので、一般選抜と比較して条件がイーブンではない印象を受ける」といった意見がみられた。
年内学力入試が拡大すると、高校3年生の授業進行や行事実施に影響が大きい、という意見が自身に当てはまるかという質問では、「当てはまる」と「やや当てはまる」を合わせた割合が全体で75.7%に達している。
出願割合が10%未満の高校では、「当てはまらない」という回答が14.3%と、他の区分と比較して突出して高かった。
年内学力入試を受験する生徒の割合が高まれば、書類作成や面接指導などへの受験サポートの負担は軽減する、という意見が自身に当てはまるかを尋ねたところ、「当てはまる」と「やや当てはまる」を合わせた割合は全体で15.1%に留まっている。
特別選抜の出願割合が低い高校では顕著で、出願割合が10%未満の高校では「当てはまる」と「やや当てはまる」を合わせた割合が3.2%だった。また、「生徒や保護者は学校での指導を頼りにしており、面接練習や添削の方に時間を取られてしまう。かといって、学校側に人的余裕があるかといえば、そんなわけでもないので、一部の教員の負担が大きくなっているような状況」といった、特別選抜全般に関わる準備への負担を指摘する意見も複数寄せられている。
今後、年内学力入試が拡大していけば、勉学に励む生徒は増えていくと思う、という意見が自身に当てはまるかという質問では、「当てはまらない」と「あまり当てはまらない」を合わせた割合が全体で75.2%を占めた。
とりわけ出願割合が10%未満の高校では、否定的な立場が87.3%に達している。一方で、出願割合が30%以上50%未満の高校では、「当てはまる」と「やや当てはまる」を合わせた割合が38.9%と他よりも高かった。
年内学力入試における学力検査以外(面接・小論文など)の配点や評価ウエイトは、もっと高くしたほうがよい、という意見が自身に当てはまるかを尋ねたところ、「当てはまらない」と「あまり当てはまらない」を合わせた割合は全体で71.9%に達している。
出願割合別でみると、30%以上50%未満の高校では肯定的な立場が他よりもやや高く、10%未満の高校では「当てはまらない」が44.4%を占めた。出願割合が50%以上の高校も、「当てはまる」と「やや当てはまる」を合わせた割合は低くなっている。
今後、年内学力入試が拡大していけば、特別選抜(総合型選抜・学校推薦型選抜)にトライする生徒は一段と増える、という意見が自身に当てはまるかを尋ねたところ、「やや当てはまる」という回答が全体で79.2%を占めた。
出願割合別でみると、10%以上30%未満の高校では「当てはまる」と「やや当てはまる」を合わせた割合が高く、すでに出願割合が50%以上の高校は、「当てはまる」という回答が半数近くに達している。
年内学力入試拡大によって、年明けの一般選抜を受験する生徒は減ると思う、という意見が自身に当てはまるかを尋ねたところ、「当てはまる」と「やや当てはまる」を合わせた割合は全体で78.6%を占めた。
一方で、出願割合が10%未満の高校は「当てはまらない」と「あまり当てはまらない」を合わせた割合が3割超となっている。
年内学力入試は、外部実施の検定試験(英検、GTECなど)をもっと活用したほうがよい、という意見が自身に当てはまるかという質問では、「当てはまる」と「やや当てはまる」を合わせた割合が全体で59.8%を占めた。
一方、私立高校と出願割合が50%以上の高校では、肯定的な割合が高い。
特別選抜(総合型選抜・学校推薦型選抜)では、なるべく面接や小論文など、各教科・科目に係るテストではない方法で評価することが好ましい、という意見が自身に当てはまるかを尋ねたところ、全体で「当てはまる」と「やや当てはまる」を合わせた割合は46.2%、「当てはまらない」と「あまり当てはまらない」を合わせた割合は53.8%となった。
出願割合別では、10%未満の高校で「当てはまらない」と「あまり当てはまらない」を合わせた割合が61.9%と特に高い。
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