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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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教育現場でのICT活用事例紹介(小学校)

政府方針に先駆けてFAXを廃止した彦根市教育委員会──教職員の業務負荷軽減にとどまらないメリットとは

 全国の公立小中学校の約8割が、依然としてFAXを日常業務で利用している。これは、文部科学省が2024年末に発表した調査データだ。政府は2023年12月に校務DXの一環として「2025年度中に、教育現場でのFAXを原則廃止する」との方針を示しており、FAX廃止に向けた取り組みは、多くの自治体や学校の課題となっている。では、どのように取り組めばよいのか。そのひとつの答えが、滋賀県彦根市教育委員会が実践した、学校へのFAX配信の事例にある。彦根市教育委員会の取材をもとに、FAX廃止に至るまでの経緯から、導入された代替手段、そして教職員の働き方改革や職員室の新たな有効活用などの実際に得られた効果まで、現場の声をお届けする。

複合機導入とJアラートがFAX廃止の転機に

──彦根市教育委員会や市内の小中学校で、従来の紙のFAXを廃止した経緯を教えてください。

彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 課長 北川尚樹氏(以下、北川):本市では2023年2月にFAX専用機が複合機に切り替わりました。当時、私は小学校で管理職を務めていましたが、FAXが職員室から消えたことは大きな革命でした。業務の効率化はもちろんのこと、職員室にあった大きなFAX専用機がなくなり空間を広く使えるようになったことは、未来を展望できるような大きな改革だと感じました。

彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 課長 北川尚樹氏
彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 課長 北川尚樹氏

彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 課長補佐 大西大氏(以下、大西):複合機を本格導入したのは2023年度からでしたが、すぐにこれまでの紙のFAXがなくなったわけではありませんでした。実際に教育委員会が学校に向けて使い始めたのは、2023年度の夏からです。その大きなきっかけとなったのが、同年夏のJアラートの訓練の配信と、インターネット経由でFAXデータの送受信ができる「Epson Connect」の機能を知ったことです。

彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 課長補佐 大西大氏
彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 課長補佐 大西大氏

 Jアラートの訓練の日程変更が直前に決まり、市内24の小中学校すべてに連絡するには時間がかかってしまう……という際に、紙のFAXではなく、インターネットによるFAXデータの送信を試験運用も兼ねて初めて利用してみました。実際に行ってみたところ、とてもスムーズに一斉送信することができ、そこからは本格運用に切り替えていきました。

──学校現場での切り替えはスムーズに進んだのでしょうか。これまで使い慣れたFAXから切り替えることへの課題はありましたか。

彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 主査 宮川隆行氏(以下、宮川):切り替え当時、私は学校現場で教員をしておりましたが、FAX専用機がなくなったことで現場が混乱することはなく、スムーズに切り替えられたと記憶しています。

彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 主査 宮川隆行氏
彦根市教育委員会 事務局学校ICT推進課 主査 宮川隆行氏

 ただ、まだ紙のFAXにしか対応していない外部の方とのやり取りもあるため、完全に切り替えるわけにはいきません。どうしても従来の紙のFAXを併用する場面もあります。

 一方、教育委員会と市内の学校のやり取りについては、通常の連絡はメール等に移行し、緊急時の連絡についてはEpson Connectのデータ送信機能で学校の複合機に配信し、強制的に印刷する形で確実に連絡できる仕組みを構築しました。学校現場の教職員、特にFAXをよく使う事務作業を担当する職員に向けては、インターネット送受信の操作説明などを随時共有し、混乱がないように努めています。

 導入した複合機はデータとして受信したFAXをプリントすることもできますが、PDFファイルでの保存も可能であるため、FAX廃止と合わせてペーパーレスに切り替えて運用している学校もあります。

次のページ
FAX廃止で生まれた空間と教職員の「余裕」

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、教育におけるデジタル活用を中心に、全国の学校を取材・執筆を行っている。渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足しプログラミング体験教室などを開催したほか、シニア向けサポートを行う渋谷区デジタル活用支援員としても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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