FAX廃止で生まれた空間と教職員の「余裕」
──「FAX廃止は大きな革命だった」とのお話もありましたが、FAXから切り替えたメリットを、教育委員会と学校現場それぞれの視点で教えていただけますか。
北川:まず学校現場の視点としては、管理が圧倒的に簡単になった点が大きいです。学校には、複合機やプリンター、FAX、輪転機などの機器があり、それぞれメンテナンスの会社が異なるため、管理が非常に大変でした。経過年数も機器ごとに異なっており、故障時の対応にも苦労していたという課題がありました。
それらが1台にまとまったことで、格段に管理が簡単になりました。特に、事務職員や学校を管理する者にとっては、常に留意していたことから解き放たれ、日常が一気に変わった印象を持っています。
また、大きなFAX専用機がなくなったことで、職員室の空間にゆとりが生まれました。職員室は人も物も多く常に飽和状態です。空いた場所を共有スペースに使うなどの有効活用ができたので、とてもよい効果があったと感じています。

宮川:FAXを使用していた当時は、誰かが定期的にFAXの受信を確認する必要がありましたし、数日前に送られてきたものがそのまま残されていた……などのトラブルもありました。現在は受信したデータをPDF化して保存できるため、紙のFAXを全員に回覧させる必要がなく、瞬時に内容を共有することが可能になりました。さらに、過去のデータについても管理しやすくなったことは大きなメリットだと感じています。
大西:教育委員会としては、FAXの廃止だけでなく複合機を集約できたという点も大きなコスト削減につながりました。また学校に連絡する際も、これまで24校に対して24回ものFAXの送信を行っていた作業が、一度で全校に送信できるようになりました。複合機で長時間作業をしていた時代から比べると、かなりの時短になっていると思います。
さらに学校現場でも、例えば校務支援システムが停止してしまった際などに、即座に複合機で教育委員会から、現状報告や復旧の見込みなどが記された連絡が届けば、安心してその後の対応ができます。一律に同じように伝えられるということは、送る側だけでなく、受け取る側にとっても「すぐに情報が届く」という安心感につながると考えています。