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GIGAスクール構想時代における学級担任のススメ

「Googleスプレッドシート」での振り返りを効果的に行うには? スモールステップで解説

GIGAスクール構想時代における学級担任のススメ 第13回


 GIGAスクール構想で導入された1人1台端末は、学校の授業や校務のあり方を変える大きな可能性を持っており、子どもたちのポテンシャルを引き出すツールにもなり得ます。本連載では小学校の学級担任である筆者が「日常的にICTを活用した学級経営のあり方」について、担任としての心得や実際の活用事例を紹介しています。前回は「Googleフォーム」活用について紹介しました。今回は「Googleスプレッドシート」を用いて振り返りを行う際のポイントを解説します。

他校の実践を「ただなぞるだけ」では子どもたちのためにならない

 リーディングDXスクールの実践発表を見に行った私。そこでは、当日の授業の課題設定や振り返りがGoogleスプレッドシートへ当たり前のように記入されていた。「今日のめあてを書こう」のように、教員から場の切り替えの指示はあったものの、詳しいやり方を指示することはなく、子どもたちは自然と取り組んでいた。課題や授業の計画などが子どもたちに瞬時に共有され、自分のクラスでもやってみたいと思ったものの、そのままマネするだけではうまくいかないようにも感じた。どうすれば、あのレベルまで子どもたちを引き上げられるんだろう……。

先日、スプレッドシートの使い方が広がる事例を見学したんです。私のクラスでもやりたいと思ったのですが、どのように進めたらいいでしょうか?
一郎
なるほど。多くのリーディングDXスクールの発表で、そのような取り組みが行われているよね。さて、ここで確認しておきたいんだけど、その取り組みは「何のために」行うんだい?
そうですね……そう聞かれてしまうとすぐには答えられないというか……正直見て何となくいいなぁと思ったのが理由なので、そこまで深く考えていませんでした
一郎
素直に答えてくれてありがとう。ちょっとイジワルな質問だったよね。でも、今の問いはとても大切だから再度確認しておくね。リーディングDXスクールの発表を見たとか、SNSで見たとか、いろいろな場面で秀逸と思われる実践に触れる機会が多くなってきているよね。ただ、考えてほしいのは「ただやり方をなぞるだけの実践は、本当に子どものためになるのか」ということ。「どのような考えから、その実践が行われているのか」までを含めて理解することができたら、それはただのマネではなく、自分の実践として根を下ろした取り組みになると思うよ
確かに、その通りです。ほかの学校でも取り組まれている実践だと思うので、私なりに文部科学省のリーディングDXスクールの資料を見てみます
一郎
そう、その調子! きっとかなりの件数が出てくると思う。まとめるのが大変であれば、生成AIの力を借りてもいいと思うよ
なるほど。Web検索しつつまとめるといった生成AIの機能を使ったら次のような利点が出力されました
一郎
一緒に見てみよう

【解説】スプレッドシートを振り返りの基盤として用いることのメリット

注:以下の解説は筆者がChatGPTに生成させた内容をもとに、加筆したものです。

(1) 学びを「見える化」することで、子どもが自分の学びに自覚的になる

 スプレッドシートに「めあて」「進捗」「振り返り」を記録することは、子どもにとって「今の自分の位置」を見つける行為でもあります。

 「今日はどこまで進んだかな」「どこでつまずいたかな」「次に何をすればいいかな」──こうした問いに日々向き合うことで、子どもは自分の学びをコントロールする「自己調整力」を高めていきます。

 その記録がスプレッドシートという形で残るからこそ、思考の積み重ねや成長の軌跡を後から振り返ることも可能となります。もちろん、ノートに残す振り返りの実践も行われてきましたが、ノートはページを使い切ると次のノートに移行してしまい、連続性が担保されないといった点や、算数などの学年による学習内容の連続性がある教科では、昨年度の自分の振り返りに戻ることができないといった弱点があります。そのため、自分の学びを経年変化も含めて記録し続ける場合は、何年も残るスプレッドシートの活用が効果的といえます。

(2)教員が「今」をつかみ、「次」を導けるようになる

 全員分の振り返りや進捗が一覧で確認できることで、教員はより的確に、よりタイムリーに支援の手を差し伸べることが可能となります。

 例えば「1人だけ進みが遅れている子」や「全体的につまずいているポイント」を即座に把握し、授業の流れを柔軟に調整することができます。

 また、記述された内容にコメントをつけることで、一人ひとりの思考に「届く」フィードバックも実現します。

 さらには、デジタルデータで提供された振り返りを分析することで全体の傾向をつかむことも容易にできるため、次時にすぐに生かすことのできるスピード感を持った対応が可能となります。もちろんこれはノートで集めてもできますが、例えばAIによる要約の作成や分類といったことを行おうとすると、少し手間がかかります。

(3)他者の思考に触れることが、学びの「深まり」につながる

 スプレッドシートにみんなで書き込む方式では、子ども同士がお互いの「めあて」や「振り返り」を読むことができます。これによって、「そういう考え方もあるんだ」「同じところで悩んでいたんだ」といった気づきや共感が生まれることがあるでしょう。

 これは単なる情報共有にとどまらず「協働的な学び」の第一歩ともいえます。また、欠席した児童も後から記録を確認できることや、場合によっては家庭から参加することも可能となることから、学びの連続性が担保されるという点も見逃せません。

 こうして見てみると、スプレッドシートを使った振り返りは、単なる「ICT活用」ではなく、「子どもたち一人ひとりの学びを個別化・協働化するための土台」であることがわかります。

 目の前のツールや手法にとらわれず、「この取り組みで誰がどう成長できるか」という視点を持つこと。それが、実践を自分ごととして根を張らせるための第一歩です。

次のページ
「技術」ではなく「目的」を真ん中に

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この記事の著者

鈴谷 大輔(スズヤ ダイスケ)

 公立小学校教諭。プログラミング教育の教員コミュニティ「Type_T」代表。みんなのコード プログラミング教育 養成塾(2019夏期集中コース)修了。プログラミング教育関連のイベント運営に複数携わる。放送大学「Scratchプログラミング指導法」ゲスト出演。Maker Faire Tokyo 201...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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