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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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大学における、これからの「情報教育」事例

数学が苦手な学生を含め、全員が主体的に取り組めるデータサイエンス教育をいち早く開始した東京都市大学

 多くの大学でデータサイエンス教育がカリキュラムに組み込まれるようになり、全学部・全学科で必修としている大学も少なくありません。一方で、数学に苦手意識のある学生に興味関心を持ってもらう講義にするため、苦労している教員の方々も多いのではないでしょうか。東京都市大学は2020年度より、数理・データサイエンスのリテラシー教育を全学部・全学科で必修化し、多様な学生に興味関心を持ってもらうためのカリキュラム設計にいち早く取り組みました。今回は講義に携わる先生方に、学生が主体的に取り組みやすい講義のポイントをご紹介いただきます。(編集部)

求められているデータサイエンス人材

 2022年度に高等学校で「情報I」が必修化され、すべての高校生がプログラミングやデータ活用の基礎に触れるようになりました。大学入学時点でデータやAIに関する初歩知識を持つ学生も増えており、大学教育にもこうした前提を踏まえたカリキュラム設計が求められるようになっています。

 大学においても制度的整備が進んでいます。文部科学省は2021年に「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」を創設しました[※1]。データサイエンス等を、デジタル時代の「読み・書き・そろばん」と考え、大学等の機関がデータサイエンスやAIの教育に取り組むことを後押しする姿勢です。2021年度からはリテラシーレベル、2022年度から応用基礎レベルの認定制度を開始しています。2024年8月時点の数字では493校の認定校が確認でき[※2]、多くの大学がすでに取り入れていることがわかります。

 一方、社会から求められているのはデータ活用だけではありません。日本経済団体連合会(経団連)が2020年に発表した「Society 5.0に向けた大学教育と採用に関する考え方」では、専門分野によらず課題発見・解決力が人材に求められると示されています[※3]データサイエンスの技術と共に、それを社会課題の発見や解決につなげることができる人材が必要とされているのです。

「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」リテラシーレベル
「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」リテラシーレベル

[※1]文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」(2025年7月1日閲覧)

[※2]文部科学省 認定・選定校一覧(2025年7月1日閲覧)

[※3]一般社団法人日本経済団体連合会「Society 5.0に向けた大学教育と採用に関する考え方」(2025年7月1日閲覧)

東京都市大学におけるデータサイエンスリテラシーの取り組み

 東京都市大学では2020年度から、数理・データサイエンスのリテラシー教育を全学部・全学科で必修化しています。当時、全学で必修化する取り組みは前例がほとんどありませんでした。教育開発機構の下に、2020年度「数理・データサイエンス教育センター」を設置し、データサイエンスの教育に注力しています。

組織構成
組織構成

 全学必修の実現にあたっては、さまざまな困難がありました。そのうちのひとつは教材の開発です。カリキュラムとしては数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム発行のモデルカリキュラムがあります。しかし、全学必修のため「数学を得意としない学生も積極的に取り組みたくなる」独自の教材を開発する必要がありました。

 まず目的を「基礎知識の習得とAIの体験的学びを通してデータサイエンスへの興味を喚起する」と設定しました。単なる技術習得を目的とせず、興味喚起を重視することで学びのきっかけとすることがねらいです。内容については「学生の興味や関心に合わせた切り口やテーマの提供」「グループワークを中心としたカリキュラム構成」などを考慮し工夫しました。

 「数学を得意としない学生も興味関心を持てるような講義」の開発には各大学の担当教員の先生方も苦労されていると聞いています。そのような先生方のご参考になるように、また、さまざまな教育の現場で広く活用していただくことを目的として、本学の講義資料はクリエイティブ・コモンズ表示4.0ライセンスの下で公開しており、教育現場でのデータサイエンスのリテラシーレベル向上に貢献したいと考えています(講義資料は本学の数理・データサイエンス教育センターのWebサイトおよび数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアムのWebサイトで公開しています)。

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PBLとデジタルの融合:実践型データサイエンス教育

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この記事の著者

齊藤 飛鳥(東京都市大学 非常勤講師)(サイトウ アスカ)

 アマゾンやアドテク、マーケティング企業でデータ分析・コンサルティングに従事。AIアイデアソン上位入賞、分析サービスの半年間での収益化、社内新規事業コンペなど実績多数。産官学連携にも取り組む。現在は金融業界にてAI・データ分析プロジェクトをリードし、チームビルディングや業務改善に貢献。MBA、M.S...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


河合 孝純(東京都市大学 デザイン・データ科学部 教授)(カワイ タカズミ)

 1997年日本学術振興会特別研究員DC1を経て1999年博士課程修了。同年NEC基礎研究所にポスドクとして採用され、フロンティアカーボンテクノロジー(FCT)プロジェクトに参画。炭素系高機能材料の原子スケール物性/材料研究に従事。情報ナレッジ研究所/セキュリティ研究所等でデータ分析による社会課題解...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


髙橋 弘毅(東京都市大学 デザイン・データ科学部 教授)(タカハシ ヒロタカ)

 2005年 新潟大学大学院 自然科学研究科 博士後期課程修了。ドイツ マックス・プランク重力物理学研究所(アルバートアインシュタイン研究所)PDなどを経て、2013年より長岡技術科学大学大学院 工学研究科 情報・経営システム工学専攻准教授。2020年9月より東京都市大学 教授。重力波データ解析手法...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


山口 敦子(東京都市大学 デザイン・データ科学部 教授)(ヤマグチ アツコ)

 1993年 株式会社日立製作所 基礎研究所入社、グラフアルゴリズムとバイオインフォマティクスの研究に従事。2002年 京都大学 化学研究所 バイオインフォマティクスセンター 助手、2009年 情報・システム研究機構 データサイエンス基盤施設 准教授を経て、2020年より現職。現在、生命科学、知識グ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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