スプリックス教育財団は、世界6か国(日本、アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国)の小学4年生および中学2年生相当の子どもを対象に実施した、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」の結果を12月4日に発表した。同調査は、4〜7月の期間に行われ、アメリカ、イギリス、フランス、南アフリカ、中国では各学年150名、日本では小学4年生300名程度と中学2年生100名程度から回答を得ている。
日本国内の傾向として、日本の小学4年生と中学2年生の計算に対する意識は以下のとおりとなっている。「計算が好きか」(縦軸)と「計算に自信があるか」(横軸)という質問に対し、5段階評価の回答の組み合わせがそれぞれどれくらいの割合を占めるかを示している。

これによると、小学4年生では肯定的な意識を示す右上の領域が26.1%となり、回答が集中している。一方、中学2年生は、小学4年生の回答で26.1%だったもっとも肯定的な領域が9.7%に減少している。さらに「どちらともいえない」(15.1%)や、左下の否定的な領域の回答が多い。

「計算が好きか」「計算に自信があるか」という質問に対する5段階評価を数値化して、6か国の調査結果を比較した。その結果、日本だけでなく他の調査対象国でも、学年が上がるにつれて否定的な回答へ向かっていく傾向が明らかになった。
日本では小学4年生の時点で、日本以外の5か国と比較して「計算が好き」および「計算に自信がある」がともに低いことがわかる。中学2年生になると、日本では「計算が好き」「計算に自信がある」とも大幅に低下する。あわせて、6か国で唯一「どちらともいえない」(平均値3.0)を下回る「否定的」な領域に位置している。
客観的な計算力をみると、小学4年生の時点では日本の正答率は75%となり、他国と比較しても標準的な水準だった。しかし、中学2年生になると他国の正答率が50%程度に留まる一方、日本の正答率は80%と相対的に高い正答率を示している。
今回の調査結果では、日本では小学校から中学校にかけての学校教育が十分に機能し、高い計算力が着実に定着しているという肯定的な側面がみられた。しかしながら、その高い能力とは対照的に「好き」「自信」といった肯定的な意識が国際的に見ても極めて低い。
そのため、計算力を確実に身に付けさせつつ、その能力に見合った「自信」や「学ぶ意欲」などの肯定的な意識をいかに育むかが、今後の日本の教育における重要な課題となっている。
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