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埼玉県が目指す「主体的・対話的で深い学び」とは? 協調学習でのICT活用が進む、川越南高校公開授業レポート

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2019/02/15 07:00

 公立高校のICT環境整備には、ネットワークの確保や機器の購入などのハードルが立ちはだかり、長い時間がかかっている。そんな中、埼玉県の教育委員会ではいくつかのプロジェクトを進めてきた。平成30年度に開始した「次期学習指導要領に対応したICT環境整備事業」によって、タブレット、プロジェクターを、一部の検証校に先んじて導入した。本レポートでは、その指定校である川越南高校で1月17日に行われた公開授業の様子をお伝えする。

ChromebookやGoogle Classroomをどう使う? 川越南高校での実証授業

 埼玉県立川越南高校は、埼玉県教育委員会による「未来を拓く『学び』プロジェクト」の研究開発校として、ICTを活用した「協調学習」の取り組みを進めてきた。また、平成28~29年度にはこうした授業実践を県内に広めることを目的として、「近未来学校教育創造プロジェクト」の検証校として選定され、タブレットやプロジェクターを先行的に導入し、「協調学習」をはじめとする教育実践に一層まい進してきた。

 プロジェクト全体が、「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指しており、本年度は「次期学習指導要領に対応したICT環境整備事業」としてタブレットやプロジェクターといったICT機器を指定校で整備。川越南高校では、研究授業や研究協議会が行われた。

 今回取材したメディア向けの公開授業では、「化学」と「情報の科学」の2教科を実施。実際にどのようにChromebookやGoogle Classroomを活用しているのか見ることができた。

動画を使った協調学習で発想を促す――化学

 まず2年生の化学の授業では「有機化合物の構造推測」の単元を扱う。授業はトランプでグループ分けするところからスタート。生徒たちは慣れた様子で席を移動して、3~4名1組のグループを作っていた。

 まずは10分間程度、復習も兼ねてプリントの問い(1)(2)をグループで考える。

実験1、2の結果から、A~Dの構造式と物質名を導き出す問題
実験1、2の結果から、A~Dの構造式と物質名を導き出す問題

 最初こそ一人ひとり問いを読むなど静かな様子だったが、徐々に自然にグループ内で会話が生まれてくる。担当教諭の藤元先生は、各グループの様子を見て回りながら、必要に応じて声をかけることを忘れない。10分たったところで、藤元先生が黒板で(1)(2)の解答・解説を行った。

グループの様子に応じて声をかける藤元琢也教諭
グループの様子に応じて声をかける藤元琢也教諭

 続いて(3)の問いに移る前に、Chromebookがグループに1台配布された。これは、Google Classroomで共有されている動画やリンク先のサイトをチェックしたうえで、答える問題だ。

 問いの内容は「お酒に強い人と弱い人がいるのはなぜ?」といった身近なもの。アルコールと健康や、パッチテストについての動画を見ながら、生徒たちは随時必要な情報のタイミングまでタイムバーを戻して情報収集していた。

 中には、ログインパスワードを読み間違えてなかなかアクセスできないグループもあったが、授業内で追いつけたようだ。Chromebook自体の利用については、グループを越えてたずね合い、難しさを感じている様子の生徒はあまり見受けられない。

 (5)の問いは、Web検索も駆使して調査し、答える問題だ。生徒たちは「ワイン 酸化 原因」などで検索をかけていた。

 (3)~(5)の解答は、グループでまとめてGoogle Classroomで投稿する。教師がリアルタイムで回答状況を把握できるだけでなく、生徒同士が他のグループの解答を見ることもできる仕組みだ。

 最後は、プロジェクターで生徒たちの解答を映し、藤元先生が解説した。グループの解答を一通り見たうえで、押さえるべきポイントを説明する。

 授業後、生徒にChromebookやGoogle Classroomを活用した授業について印象を聞いてみると、「動画が分かりやすい。他の人の解答が共有できるのがいい」とポジティブな回答が返ってきた。協調学習についても、「テストでも理由を聞かれることが多いので、なんでそうなるのかを考える時間が大切。(協調学習は)『考えなきゃ』と思うのでいいと思う」と必要性を実感していた。

 授業の前には、どんな準備をしているのだろうか。担当の藤元先生は、「動画を探し、質問フォームを作り、プリントを用意するといったもの。YouTubeで合いそうな動画を探すことで、一からコンテンツを用意する必要はなくなります。情報を取捨選択してほしいと思っているので、正解をピンポイントで動画にしないよう気をつけています」と動画教材の活用ポイントを示した。また、「以前草津温泉まで行って動画を自作したことがありましたが、かなり骨が折れる作業でした」と苦笑する。

 授業中意識していることについては、「ヒントもなるべく言わないようにして、生徒の学び合い、発想を促すような声かけを試みています」とアクティブラーニングを後押ししている様子だった。

 また、アクティブラーニングにGoogle ClassroomのようなICTを用いることで、「動画で生徒に訴えやすくなり、生徒のモチベーションをあげられている。また、意見の比較がやりやすくなったのは大きい」と語った。


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著者プロフィール

  • 岡田 果子(編集部)(オカダカコ)

    2017年7月よりEdTechZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。最近は英語学習のアプリやオンライン講座に興味がある。

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