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教育現場でのICT活用事例紹介(高等学校・高等専門学校)

「映像制作」は「自分は何者か」を考えるツールになる! 大学進学実績にも結びついた学びの成果とは

工学院大学附属中学校・高等学校 中川千穂教諭インタビュー

 全国の高校で「総合的な探究の時間」が必修となり、中学校でも探究学習に取り組む学校が増えているが、いかに生徒たちの「考える力」を引き出すか、試行錯誤している学校は多い。そんな中、工学院大学附属中学校・高等学校では、2017年から生徒たちにとって今やもっとも身近なメディアとなった「動画」の制作を通じて、考える力や表現力といった非認知能力やICT活用スキルなどを養っている。その結果、生徒たちは「計画を立てて、考える力」「自ら学ぶ意欲」を身につけ、進学実績にも結び付いたという。授業を担当した工学院大学附属中学校・高等学校の英語科教諭である中川千穂氏に、映像制作を取り入れた授業の概要から、その成果までを伺った。

学校全体で「映像制作」の文化が根付いた

──まずは、工学院大学附属中学校・高等学校の特徴と、ICT環境について教えていただけますか。

 本校は私立の中高一貫校です。工学院大学の八王子キャンパスが隣接しており、高大接続の取り組みをはじめ、恵まれた環境にあります。2017年には、日本の中学校としては初めて「Cambridge Englishスクール」に認定されました。英語ではケンブリッジ大学出版が発行する教材を使い、オールイングリッシュで授業を行っています。この教材は日本用につくられたものではなく、英語を外国語として学ぶ全世界の生徒たちが使っているため、自ずと国際的な感覚が身についていきます。

 ICT環境については、現在は中学・高校とも、1人1台のBYOD(注:Bring Your Own Device、生徒所有の端末を持ち込んで使用すること)を導入しています。キーボードが付属するラップトップ型であれば、OSを問わず、各自が好きな機種を購入できます。ちなみに、本校は「Microsoft Showcase School」に3年連続で認定されていることもあり、Windows PCを利用している生徒が多いですが、Macを使用している生徒もいます。

工学院大学附属中学校・高等学校 教諭(英語科主任/インターナショナルクラス担任)中川千穂氏
工学院大学附属中学校・高等学校 教諭(英語科主任/インターナショナルクラス担任)中川千穂氏
──「映像制作」の授業は、どのようなきっかけで始まったのでしょうか。

 もともとは2017年に研修旅行の事前学習として、当時の中学2年生に映像制作を通じてプロジェクト学習に取り組む「映像教育」授業を行ったのが始まりです。そこでつくった作品を国内外で行われている外部の映像コンクールに応募するようになり、その後は私が担当する学年を中心に実施しています。

──映像制作はすべて英語で行っているのですか?

 いえ、英語ではなく日本語です。ロングホームルームや総合的な学習の時間・総合的な探究の時間などを使っています。全クラスの担任の先生が関わっており、英語だけではなく、あらゆる教科の先生が行っています。

 ただ、最初に映像制作に取り組んだ際には、私が英語科ということもあり、生徒が自主的に英語で字幕をつけることもありました。その後、海外の映像コンクールに出すことになり、「英語で表現することで、より多くの人々に届く」ということを実感した経験から、英語で表現する作品も増えてきました。

 現在は私が担当する学年だけでなく学校全体に映像制作が根付いてきており、ほかの教科や校内活動の時間でも映像制作に取り組むシーンが増えています。例えば、文化祭や体育祭の前には、各クラスを紹介する映像を制作しています。また、さまざまなプロジェクト学習の授業の中でも映像制作を取り入れています。

次のページ
映像制作は「生徒自身が考える」ためのツール

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、教育におけるデジタル活用を中心に、全国の学校を取材・執筆を行っている。渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足しプログラミング体験教室などを開催したほか、シニア向けサポートを行う渋谷区デジタル活用支援員としても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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