中央教育審議会の答申で学びがアップデート
文部科学省が定める「学習指導要領」には教育課程の基準などが示されているが、この改訂にあたっては、中央教育審議会(以下、中教審)という文部科学省の諮問機関の審議と答申が生かされている。
荒瀬氏は、令和3年(2021年)答申「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」と、それに続く特別部会の審議まとめ、さらに令和4年(2022年)答申「「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について~「新たな教師の学びの姿」の実現と、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成~」に至る流れを示した。2020年度から、新しい学習指導要領が小学校で実施されたばかりというタイミングで中教審の答申が新たに出るというのは「非常に珍しい」と、荒瀬氏は指摘する。
令和3年(2021年)答申では「令和の日本型学校教育」の姿が示され、続く特別部会による審議をもとに、2022年7月には教員免許制の発展的解消が実施されるという動きがあった。そして令和4年(2022年)答申では「新たな教師の学びの姿」が示され、続く特別部会により教員の働き方改革につながる審議が行われ、教職員定数や処遇改善などさまざまな方向から改善の提言がなされた。ちょうど2024年5月に「質の高い教師の確保特別部会」による審議のまとめが出て、6月28日までパブリックコメントを受け付けていた。
荒瀬氏は、こうした中教審の議論の流れを踏まえ、「教員の業務環境は多角的な改善が必要だ」としつつも、それだけでは根本的な解決にはならないと見る。「教師の仕事がどのようなものかを明確にしなければ駄目で、何でも教師がやる、学校に委ねるということを避けなければならない」と、広く根付く教員や学校に対するイメージも問題視した。