SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

次回のオンラインセミナーは鋭意企画中です。準備が整い次第、お知らせいたします。

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナー

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

未来の学校現場考──教員のサステナブルな働き方を考える

若手教員の離職防止──民間企業における「オンボーディング」の視点から考える、人材定着のヒント

未来の学校現場考──教員のサステナブルな働き方を考える 第6回

 新年度が始まり、新たに教員になった若手たちが学校現場に足を踏み入れました。しかし近年、せっかく教職に就いた若手教員が、わずか数年で離職してしまうケースが増加しています。2023年12月~2024年2月に行われたNPO法人School Voice Projectなどでつくる「#教員不足をなくそう!緊急アクション」によると、3年以内に転職・離職する可能性がある人は6割を超えるという結果が出ました[※1]。その背景にはどのような要因があるのでしょうか。また、どのような支援があれば定着につながるのでしょうか。教員のキャリア支援事業に携わる、株式会社クジラボ代表・森實氏に話を伺いました。

[※1]出典:特定非営利活動法人School Voice Project「メガホン」「【教職員アンケート結果】教員不足解消に向けた実態調査 ~2023年度冬ver.~」2024年4月25日

株式会社クジラボ 代表取締役 森實泰司(もりざね だいじ)氏

 株式会社リクルートで採用コンサルタント、ITベンチャーで人事責任者経験後、人事コンサルタントとして独立。現在も人事顧問に従事するなど、教員をはじめ数多くの転職者として関わる。2019年に学校法人の事業を承継し私学経営を行うかたわら、2021年に教員のキャリア支援事業を行う株式会社クジラボを創業。ミッションは教育のオープン化。

若手教員の離職が増えている背景とは

──若手教員の離職が増えている要因について、どのように見ていますか?

 まず背景として、時代の変化によって若い世代の就労観が大きく変わったことが挙げられます。以前は「まずは数年続けてみる」「すぐに辞めるのはよくない」といった考え方が比較的一般的でしたが、今は「自分に合っているかどうか」「納得感を持って働けているか」を重視する傾向が強くなっています。これは教員に限らず、社会全体の傾向でもあります。

 リクルートマネジメントソリューションズによる「新入社員意識調査2024」によると、就職先での勤続意向は「現在の会社で勤め続けることにこだわらない・どちらかと言えばこだわらない」(52.1%)が「定年まで現在の会社で勤めたい・どちらかと言えば勤めたい」(41.4%)を上回るという結果が出ています。

 さらに、社会全体として働き方の選択肢も広がっています。リモートワークやフレックス勤務、裁量のあるキャリア設計などを提示する民間企業が増え、「自分らしく働ける職場」がすぐ近くに存在している時代です。しかし、教員という仕事は制度的にも文化的にも変化しにくい側面があります。子どもたちと日々向き合う尊い仕事である一方で、長期的なキャリアの見通しや、ライフスタイルとの両立がイメージしづらい部分もあるのです。「このままここで働き続けた先にどのような未来があるのか」が見えにくいと感じる若手がいても不思議ではありません。

出典:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「新入社員意識調査2024」2024年6月8日
出典:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「新入社員意識調査2024」2024年6月8日

──若手の離職を防ぐために、現在はどのような対策が行われているのでしょうか?

 初任者研修やメンター制度といった形で、新任の先生をサポートしようという動きは、すでに多くの自治体や学校で導入されています。ただ、それらの制度がうまく機能しているかというと、現場の声は必ずしも肯定的なものばかりではありません。制度としては整っているけれど、「実際には形式的になってしまっている」「忙しさの中で機能していない」といった声も聞かれます。

 これは、決して学校の努力が足りないということではなく、仕組みそのものが人と人の関係性に依存する部分が大きいためです。例えば、メンターが年齢や価値観の離れたベテラン教員だった場合、相談しづらいと感じる若手も少なくありません。本来であれば「この人なら話せる」「困ったら頼れる」と思えるような関係性が、職場全体で築かれていることが理想です。そうした意味でも、制度や研修といった施策だけでなく、学校全体の文化や環境設計の視点がとても重要であると感じています。

次のページ
人材定着を支える「オンボーディング」の考え方

この記事は参考になりましたか?

未来の学校現場考──教員のサステナブルな働き方を考える連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

津田 迪加(ツダ ユカ)

 公立小学校教員を11年経験後、教育の現場で培ってきた傾聴スキルや言語化スキルを生かし、フリーランスライター・編集者として活動中。株式会社クジラボに2021年創業時より携わり、教員向けイベントの企画・運営も行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


この記事をシェア

EdTechZine(エドテックジン)
https://edtechzine.jp/article/detail/12449 2025/05/07 07:00

おすすめ

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング

イベント

EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

記事アクセスランキング

記事アクセスランキング