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イベントレポート(情報リテラシー)

これからの時代を生きるために必要な「金融教育」とは? 学校や家庭で何ができるか

「親子で金融教育を考えよう!夏休みマネーアカデミー」保護者・教育関係者向けセッションレポート

 現代社会を生き抜くために不可欠な「お金の知識」。価値観が多様化し、さまざまな金融サービスなども登場する中、学校や家庭ではいかにして子どもたちの「お金の知識」を育んでいくべきなのか。そうした課題感のもと、マネーフォワードとメルペイは、8月26日~28日に「親子で金融教育を考えよう!夏休みマネーアカデミー」と題したイベントを開催した。本稿では、金融庁の亀本雅史氏やリクルートの小宮山利恵子氏らが登壇した、保護者・教育関係者向けセッションの模様を紹介する。

なぜ中高生で「金融リテラシー」を身につけることが重要なのか?

 「金融庁における金融教育の取組について」と題した基調講演には、金融庁の総合政策局総合政策課で、子どもたちの金融教育について担当する総合政策管理官の亀本雅史氏が登壇。自身にも中学生の子どもがいるという亀本氏は、「現在の親年代は金融教育を受けたことがない人が多い。今の子どもたちが学校でどのような金融教育を受け、なぜ金融リテラシーが求められているのかに興味があるのではないか」と、講演の目的を語った。

 そもそも金融リテラシーとは、「金融に関する健全な意思決定を行い、究極的には金融面での個人のよい暮らし(well-being)を達成するために必要な、金融に関する意識、知識、技術、態度及び行動の相対」と定義される。[※1]簡単に言えば「お金の知識・判断力」であり、要素として「(1)家計管理」「(2)生活設計」「(3)金融商品の選択・金融経済の理解」に分類され、それらの活動に対し「(4)外部知見の活用」も必須となる。

[※1]出典:OECD/INFE「金融教育のための国家戦略に関するハイレベル原則」(2012年06月)

 こうした金融リテラシーが求められる背景には、ライフスタイルの多様化が挙げられる。従来は、父親が働き、母親は専業主婦で子どもがいるという家族単位で、就職後は定年まで働き、マイホームを購入して暮らす、というライフスタイルが多く、お金の管理・使い方も定型的だった。しかし、家族や仕事、住まいのあり方などが多様化する中で、一人ひとりの生き方に合わせてお金を管理する必要が生じてきた。

 亀本氏は、日本銀行が事務局を務める金融広報中央委員会が実施した、2022年で3回目となる「金融リテラシー調査」(2022年)の結果を提示。家計管理や生活設計についての金融教育を「行うべき」との意見は71.8%もありながら、実際に「金融教育を受けたことがある」と回答した人はわずか7.1%にとどまっている。ニーズと結果に大きなギャップがあるというわけだ。

「金融教育を受けたことがある」と回答した人は7.1%にとどまる
「金融教育を受けたことがある」と回答した人は7.1%にとどまる

 また、前回2019年の調査からは、金融リテラシーに係る特徴として、正誤問題の正答率が80%を超える「高リテラシー層」は「(1)金融経済情報を見る頻度が高く」「(2)会計管理をしっかり行い」「(3)金融商品の内容を理解した上で商品を選択している」などの特徴があることがわかった。

 では、中高生の段階においてはどのような金融リテラシーが求められるのか。亀本氏は、年齢層別に最低限身につけるための金融リテラシーをまとめた「金融リテラシー・マップ」を提示。中学生であれば「家計の収支や契約の基本への理解」などが該当し、高校生にはさらに「金融商品の特徴やリスクの理解」などが追加される。こうした金融教育への関心の高まりの背景には、2022年4月に行われた「成人年齢の引き下げ」が挙げられる。

中高生向けの金融リテラシー・マップの内容 中高生向けの金融リテラシー・マップの内容
中高生向けの金融リテラシー・マップの内容

 さらに、高校の学習指導要領が改訂され、家庭科で実施する金融教育では特に資産形成に関わる内容が充実した。人生100年時代やライフスタイルの多様化などを踏まえると、人生のさまざまなステージで必要となる資金の確保に向けて、安定的な資産形成に取り組んでいくことが重要である。中高生から資産形成や金融商品に関する基礎知識を学ぶことが重要になってきている。

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金融庁が無料で公開する高校向け教材

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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