児童生徒のデータプライバシー協会は、全国の教育委員会を対象に実施した「GIGAスクール端末処分に関する実態調査」の結果を6月2日に発表した。同調査は、4月末〜5月上旬の期間に行われ、104件の回答を得ている。
GIGAスクール端末の処分は、各自治体の教育委員会が主体となり判断・実施する仕組みとなっている。さらに文部科学省「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」(2024年1月改訂)では、GIGA端末の処分を専用ソフトウェアによる実施を規定している。専用ソフトウェアを用いた消去により、1台ごとの消去ログやデータ消去証明書が発行でき、より確実なデータ消去が実現可能となる。
同協会では、2025年以降にGIGA端末の処分件数がピークを迎え、全国で具体的な対応方針や情報管理の在り方が問われていることから、「データ漏えいを1件も起こさない処分」の実現、および適正な処分・データ消去の実行に向けて、今回の調査を実施した。
調査対象者に、GIGA端末のデータ消去方法について尋ねたところ、適正とはいえないデータ消去方法(初期化・磁気消去)が23%を占めた。通電不可端末などで、やむを得ず物理破壊する際も「SSDは2mm以下に粉砕が必要」と定義されている「物理破壊」と「初期化・リセット」を合わせた割合は、約4割となっている。一方で、「専用ソフトウェアを用いたデータ消去」という回答は12.5%にとどまった。

データ消去の履行確認方法について尋ねた質問では、「1台ごとの消去ログが取れないデータ消去履行確認の実施」が37.5%となった。一方で「資産管理番号を区別可能(データ消去作業ログが取れる)な証明書を委託事業者から取得予定」は20.2%と、差が生じている。

データ消去の工数・費用確保については、「データ消去作業を外部委託する予算を確保している(または確保予定)」が28.8%、「データ消去作業を内部で行うために必要な自治体職員・設備・予算を確保している(または確保予定)」が9.6%にとどまった。

GIGA端末の処分における課題として、「必要な情報不足」をはじめ、「適正に対応できる事業者がわからない、見つからない」「予算が確保できない」といった声が寄せられている。
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