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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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大学のDX事例紹介

市民にも開かれたプラットフォームを目指す「東北大アプリ」、そのねらいと可能性とは?

 2025年4月より運用が開始された「東北大アプリ」は、教職員と学生、約2万4400人が活用する、東北大学のデジタル基盤として誕生した。現在は学生証や職員証として活用されているが、学外で利用できる場面もあるという。さらに、大学関係者だけでなく一般の人にダウンロードしてもらうことも視野に入れて開発されている。どのような背景から本アプリを開発し、活用可能性を見いだしているのか。東北大学のDX推進をけん引する藤本一之氏のほか、同アプリの開発・運用に関わる吉田潤氏、佐藤卓氏、中村卓司氏の4名にお話を伺った。

国からの「マイナンバーカード活用」の要請が変革の追い風に

──まず、「東北大アプリ」開発の背景について教えてください。

藤本氏(以下敬称略):きっかけは2020年12月に閣議決定された「デジタル・ガバメント実行計画」でした。マイナンバーカードの普及や行政手続きのオンライン化が重点課題として位置づけられ、国の各機関にはマイナンバーカードの普及・活用を推進することが求められました。その中で、国立大学に対しては、事務のデジタル化やマイナンバーカードの活用などの取り組みを中期目標・中期計画に反映することが明示され、大学としての対応方針を定める必要が生まれたのです。

 これは、DXを進める立場にある私たちにとって、新しい挑戦を加速させる大きな契機になりました。大学は多様な関係者が関わるため、物事は丁寧に検討しながら進めていくことが多く、新しい仕組みの導入には時間を要することもあります。本学でも学生証は長らく磁気カードを活用していましたが、国の方針が示されたことで、スピーディーに変革を進める後押しとなりました。

東北大学 経営戦略本部 データ戦略室 主任経営企画スタッフ 藤本一之氏
東北大学 経営戦略本部 データ戦略室 主任経営企画スタッフ 藤本一之氏

吉田氏(以下敬称略):2021年に、マイナンバーカードの活用に関して本学と民間企業による実証実験を実施しました。他大学での活用の事例を調べたところ、マイナンバーカードに学生証の情報を紐づけて、図書館や学内のインフラ利用時の認証に使うケースが確認できました。そういった事例を参考に、本学ではマイナンバーカードを授業の出席やキャンパス内施設の入退室、証明書発行等に活用する実証実験を実施しました。

東北大学 研究推進部 ナノテラス共創推進課 利用推進係長 吉田潤氏
東北大学 研究推進部 ナノテラス共創推進課 利用推進係長 吉田潤氏

 マイナンバーカードが非常にセキュアであること、活用の可能性があることは確認できましたが、関係者間での慎重な議論の結果、マイナンバーカードは学生証の代替にはならないという結論に至ったのです。

藤本:マイナンバーカードをそのまま学生証として利用することは現実的ではありません。学生証は大学名や所属を明示し、学生であることを一目で確認できる役割を担っていますが、マイナンバーカードにはこうした大学固有の情報を追加することができないためです。したがって、大学で将来的にマイナンバーカードを活用していくには、その機能を補完するスマートフォンアプリとの連携が不可欠になるだろうと考えていました。

 そうした中、大学ICT推進協議会(AXIES)の2022年度年次大会で、SibaServiceさんに出会ったのです。SibaServiceは高等教育機関向けポータルアプリの提供や開発支援を行う企業で、他大学との取り組みを見て非常によいアプリを作られていると思いました。

 本学でも、プロジェクトチームを立ち上げ、市場調査やアプリの仕様検討を経て、2024年3月に導入が決まりました。そして2025年4月、「東北大アプリ」を東北大学の学生・教職員約2万4400人に向けてリリースしました。

次のページ
仙台市と連携し、幅広い用途でアプリを活用

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

 IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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