求められるのは「子どもたちが主体的に学び成長できる」環境
GIGAスクール構想を受け、奈良県では小中学校で共通の環境をつくるべく、児童生徒に1人1台のChromebookを整備した。さらに教育機関が無料で使えるクリエイティブアプリ「Adobe Express」を導入し、一人ひとりのGoogleアカウントも取得。こうした環境は子どもたちにも浸透しており、プレゼンテーションはAdobe Expressでつくられているという。
また、高校でも2021年に学校の高速通信環境が整備され、1人1台のChromebookまたはBYODが導入された。一方で各家庭のネットワーク環境には差があり、その是正は今後の課題となっている。Adobe Expressは高校でも全員が使える環境を整えており、松下教諭は「今後はクリエイティブな発表など、さまざまな体験をさせたい」と意気込みを語った。また、2025年より大学入学共通テストに教科「情報」が採用されることもあり、通常のネットワーク環境に加え「パソコンルーム」のような高速のネットワークとスペックの高い端末を備えた環境の整備も期待されている。
ますます学校のデジタル環境が進化し、できることも増えていくが、松下教諭は「デジタルツールの使い方を教えようとすると、テクノロジーの進化についていくのが大変。それよりも、自分がやりたいことにまず取り組んでみることをおすすめしたい。そして『やってみたらできた』という成功体験を子どもたちに提供することが大切。そのためには、教員である自分たちも必要なことを体験し、常に新しいインプットを続けていく必要がある」と訴えた。
また小崎氏も「今後の教育は『○○先生の授業』というように先生が教えるものではなく、子どもたちが自由に学び、成長できる環境を整えることが主流になる。主役は児童生徒であり、頼られる立場として先生も真剣に取り組む必要がある。これまでクリエイティブであることは『ちょっと変わっている』という印象があったが、今後は一人ひとりが各自のクリエイティビティを発揮する時代。自分を活かし、自分で決めて進む、1人ではできないから協力し合うことが当たり前になる」と語った。
小池氏も「これからの10年に向けて、教育もどんどん変わっている時期。その中でクリエイティブ・リテラシーを育む教育とは、単にデジタルツールを使える力を身につけるためのものではなく、社会に出て活躍する力をつけ、クリエイティビティを発揮するきっかけとなる」と語り、鼎談のまとめとした。
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