ハーモニープラスは、尚美学園大学の協力のもと、学生の価値観を深層から理解するためのワークショップを2025年12月に実施した。
今回のワークショップは、教育DXにおけるシステム構築の前に、ユーザーである学生自身の「OS(価値観)」を解像度高く理解することを最優先としている。学生の成長支援は、成果指標(ディプロマ・ポリシー、以下DP)とそれを支える行動原理(価値観)の両方を捉えて、はじめて機能する。尚美学園大学と同社は、「学生が自ら動く理由(内発的動機)」の言語化が、実効性のあるDXへの第一歩だと考え、今回のワークショップを実施した。
そのためワークショップでは、結論を急ぐことや成果を測ることを目的とせず、あくまで学生の「今の状態(迷いや葛藤を含む現在地)」を理解することに特化した。ハーモニープラスがファシリテーションを行い、独自の対話フレームワークを用いて学生の内面を紐解いた。
また、単なる質疑応答やアンケートではなく、学生が自身の過去の選択や感情の動きを多角的に俯瞰できるプロセスを設計。「自分は何を大切にしてきたのか」「これからの自分に何が必要なのか」という問いに対して、直感的なワークと対話を往復させることにより、表面的な言葉の奥にある「本音の判断基準」を浮かび上がらせた。
ワークショップに参加した学生からは、以下のような言葉が寄せられたという。
- 「安定」が正解だと思い込んでいたけれど、自分の過去を並べてみたら本当に心が動いていたのは「挑戦」した瞬間ばかりだった。言葉と本心がズレていたことに初めて気づきました。
- これまで何かを辞めることを「逃げ」だと思って責めていました。でも、自分の価値観に照らし合わせれば、それは自分を守るための「見切り」という決断だった。そう思えた瞬間、すごく楽になりました。
- 他人の評価軸ではなく、自分の中の納得感を基準にしていい。当たり前のことのようで、今まで一番できていなかったことかもしれません。
多くの学生が、現状の自己分析は問題なく進められた一方で、「未来の自分」について問われた瞬間に長く沈黙して思考を巡らせたという。同社は、この「沈黙」の時間こそ、学生が自分自身と真剣に向き合っている証であり、既存の教育データでは捉えきれない「成長の余白」であると指摘している。
なお今回のワークショップは、DP以外の成果や価値観をすぐに可視化・評価することが目的ではない。そのため、正解を出すことも価値観を優劣で評価することも一切行わず、「迷っていること」「言い切れないこと」「整理しきれていない感覚」をそのまま肯定した。ワークショップは、このような学生の「割り切れない迷い」に大学側が向き合う余地はあるのかについて、確認するための入口にもなったという。
同社では、大学の現場で学生の声を加工せずに受け取り、教職員と同じ目線で迷い、結論を急がずに向き合うべき問いを共有するプロセス全体を「DXの一部」だと定義している。今回のワークショップも、「プロセス型DX」の第一歩と位置付けている。
さらに同社は、学修成果MOEを通じてDPだけでなく、学生の内面にある価値観(行動原理)や、日々の学び・課外活動・振り返りといったプロセスを統合。学生が自分の現在地を理解しながら前に進める学修ポートフォリオの実装を目指す。
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
