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教育現場でのICT活用事例紹介(小学校)

Google Classroomのイラスト投稿で情報モラルを学ぶ──ポジティブに交流できる理由とは?

「ibisPaint」と「Google Classroom」を活用した情報モラル教育事例

 小学生もスマートフォンを持ち、低年齢からSNSに触れる機会が多い今の子どもたちは、インターネットとの付き合い方をどのように学べばよいのだろうか。紋別市立紋別小学校に勤務していた高田保則先生(現在は滝上町立滝上小学校に勤務)は、「Google Classroom」での「SNSの疑似体験」を通じて、実践的に学ぶ情報モラル教育に取り組んできた。それが、児童がお絵描きアプリ「ibisPaint」で描いたイラストを投稿し、交流する「ibisPaint倶楽部」だ。危険性を強調した従来の情報モラル教育とは異なり、イラストの投稿を通して自然とオンラインコミュニケーションのリテラシーを身につけていく点が特徴だという。取り組みのねらいについて、高田先生に伺った。

滝上町立滝上小学校 高田保則先生(当時は紋別市立紋別小学校に勤務)
滝上町立滝上小学校 高田保則先生(当時は紋別市立紋別小学校に勤務)

Google Classroom×ibisPaintによる、実践的な情報モラル教育

──高田先生がイラスト投稿を介した情報モラル教育として、ibisPaint倶楽部を始めた経緯を教えてください。

 GIGAスクール構想により、全国の小中学校の児童生徒に1人1台のICT端末が配付されました。一方、学校では新しいものが導入されると「トラブルやアクシデントが起きるのではないか」と恐れて、使い方を制限する動きが出てきてしまいがちです。

 しかし、小学生でもスマートフォンを持つ時代です。「LINEで子ども同士がトラブルになった」などの話も耳にするようになりました。そのような問題に対して、「危ないよ」「手を出さないようにしよう」といった、リスクを避ける指導だけをしていても、真の情報モラルは育たないと私は考えています。

 私たち大人は「便利」で「楽しい」から、SNSに投稿したり、情報を得たりしているわけです。そういった側面も子どもたちに伝える必要があるのではないでしょうか。

 そこで、Google Classroomをインターネットの「掲示板」のように見立てて、子どもたちが疑似的にSNSやオンラインのコミュニケーションを体験する場として活用することにしました。

 当時、私が勤めていた紋別市立紋別小学校は「Google Workspace for Education」を採用しており、Google Classroomで連絡事項を伝えたり、児童が宿題を提出したりしていました。

 Google Classroomは基本的に学校外とつながることはなく、安全に使えるように設計されています。だからこそ、子どもたちが楽しみながらインターネットのモラルを学べるのではないかと考え、ibisPaint倶楽部をはじめとした、いくつかの同好会をGoogle Classroom上に立ち上げました。

 ibisPaint倶楽部以外には、Scratchを使ってプログラミング作品を投稿し合うクラブや、写真を投稿し合う「写真部」、YouTuberのように自分の動画を撮影して投稿し合う「動画部」も立ち上げました。

──さまざまなツールがある中で、なぜibisPaintを使った同好会を立ち上げたのですか?

 同好会はいずれも子どもたちの声をきっかけに立ち上げたものが多いです。ibisPaintのアプリも、私が担当する通級指導教室の児童が教えてくれました。

 その子はイラストを描くのが得意で、私物のiPadにibisPaintを入れて使っており、「面白いアプリがある」と私に教えてくれたんです。無料版もあったので試しに使ってみたところ、高価なツールと同等の機能も入っており「これはいいな」と思いました。

 当時はGIGAスクール構想が始まったばかりで、端末にどのようなアプリを入れようか試行錯誤している時期でした。「ibisPaintを導入したい」と教育委員会に依頼し、全校児童の端末に入れてもらったところ、子どもたちにも好評でどんどん使ってくれました。

 ibisPaint倶楽部は、そういった絵を描くのが好きな児童が楽しんで作品を投稿してくれるのではないかと思いスタートしました。

──ibisPaint倶楽部では、どのような活動をしていたのでしょうか。

 児童はibisPaintを使ってイラストを描き、その作品をGoogle Classroomに投稿します。ほかの児童はその投稿にコメントを送るなどして、作品を通じた交流ができます。

 ほぼ毎日誰かが作品を投稿し、必ずコメントがつくほど盛り上がっていましたね。私の異動によって紋別小学校のibisPaint倶楽部は今年3月に閉鎖してしまいましたが、最終的には130人ほどが参加していました。

 コロナ禍で学級閉鎖も多い時期と重なったこともあり、自宅でイラストを描いてそれをオンラインで投稿する活動に夢中になってくれたのだと思います。

 また、児童が「Google Meet」を使ってオンラインでつながりながら、一緒に絵を描くといった活動も何回か実施しました。画面上ではつながりつつ、みんな黙々と絵を描くという不思議な時間でした。

 今の子どもたちは、オンラインでつながりながら勉強したり、誰かの家に集まってただひたすらゲームをしたり、会話しなくてもつながっている状態が心地よいみたいです。私は沈黙が続くと落ち着かなかったのですが、児童からは「面白かったからまたやってほしい」と好評でした。

次のページ
一所懸命描いた「作品」を介するからこそ、穏やかなコミュニケーションが実現

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

 IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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