この2年間を振り返り「Next GIGA」を考える
最初に、主催であるレノボ・ジャパン合同会社 エンタープライズ事業部長の西本貴憲氏が登壇し、開催のあいさつをした。
西本氏によると、GIGAスクール構想によって小中学校に導入された約900万台の端末のうち、レノボ製の端末は約210万台を占め、シェアNo.1となった。その上で「責任の重さとともに、端末管理や指導する教員、児童生徒の使い方など、多岐にわたる課題があることを痛感している」と話した。特に大きな課題とされているのは「端末を利活用し『文鎮化』させないこと」と指摘。「今日は登壇者と一緒に、これまでの振り返りと、今後の利活用に向けたNext GIGAへの展望についてディスカッションしていきたい」とまとめた。
1人1台端末は子どもたちの文房具となったのか?
次にオープニングキーノートとして、今回のセミナーの企画協力を行った国際大学GLOCOMの主幹研究員・准教授であり、FuLLの主宰を務める豊福晋平氏が登壇し、Next GIGAに向けてGIGAスクール構想の現状を解説した。
まず、豊福氏は「ICTは本当に子どもたちの文房具になったのか」という問いを会場に投げかけた。2022年11月に文部科学省が発表した「令和4年度全国学力・学習状況調査」の結果によると、GIGAスクール構想で整備された端末、いわゆる「GIGA端末」をほぼ毎日授業で活用する割合は、小学校・中学校とも5割を超えるが、毎日児童生徒同士でやり取りをする機会となると、小学校で3割、中学校では2割と大きく下がる。さらに、毎日端末を持ち帰りする割合については、小学校の最低値が0%という結果になっていることを挙げ、「厳しい数値」と指摘した。
その上で「これらの差がもたらす影響は、子どもたちの学習機会の格差にそのままつながっていく」と警告し、「こうした格差だけでなく、自治体や学校、学級、家庭においてさまざまな利用上の制約が課せられているが、それらは本当に正当なものなのか」と切り込んだ。
豊福氏が主宰するFuLLでは、2022年10月に「デジタルと学びの明日を展望する – 2030年代の学びの生態系とは何か」と題したシンポジウムを開催し、有識者とともにテクノロジーと学びの新しいあり方を検討した。その中でFuLLは「テクノロジー×子ども・メディア・社会」を切り口に、「PLAY」「SHARE」「CONTRIBUTE」の3つのキーワードを、これからの学びにおけるひとつの目標として提案したという。
最後に豊福氏は「今日は皆さんと一緒に考えて、未来のワクワクを共有する1日にしていきたい」と伝え、キーノートを締めくくった。