「快適なハイブリッド授業」実現に向けた音声設備のポイント
立命館大学におけるハイブリッド授業対応インフラ整備の音響システムにおいて大きく貢献したのが、米国の創業から約100年となる老舗音響メーカーのShure(シュア)だ。これまで多くの企業リーダーや政治家などの演説・声明を伝え、歴史的な瞬間をマイクや音響システムによって支えてきた。音楽シーンでも講演でも欠かせない存在となっている「Shure SM58」は60年以上のベストセラーとしてブランドを象徴するマイクロホン。現在はさまざまな領域のビジネスへ展開している。ライブやコンサート、動画・音楽制作、放送などはもとより、近年は企業や官公庁、教育関係にも長年培った技術とエンジニアリングを使いやすく高性能な製品として提供している。
立命館大学のように、よりよい音声設備の整備に積極的に取り組む大学も登場し、ハイブリッド授業の環境整備が徐々に進みつつあるとは言え、全国の大学全体で見ると、取り組みはこれからというケースが多いという。
2021年5月に文部科学省から発表された「新型コロナウイルス感染症の影響による学生等の学生生活に関する調査」では、オンライン授業について学生の6割以上が「満足」または「ある程度満足」と回答しており、その理由を「自分で選んだ場所で受けられた」「自分のペースで学習できた」としているが、一方で「友人と一緒に授業を受けられず寂しい」「レポートの課題が多かった」などをデメリットとしている。そしてさらに注目すべきは、「身体的疲労を感じた」「質問等、相互のやり取りの機会がない・少ない」「対面授業よりも理解しにくい」「通信環境が不十分」といった、授業の内容そのものというよりも「環境」がデメリットとして大きく影響していると思われる点だ。
シュア・ジャパンのインテグレーテッドシステムズ・シニアディレクターの大友裕己氏は「オンライン・ハイブリッド授業をもっと受講しやすくするために、適切な環境整備が必須であることは間違いない。しかしその中で『音声設備』は、意外な盲点となっている。意識的に音声部分を改善することで、環境の快適性を大きく向上させることができる」と指摘し、改善ポイントとして次の5点を挙げた。
(1)【利用者視点】音の聞き取りにくさ
マスクやアクリル板があり、物理的に離れて座るソーシャルディスタンスの徹底によって、聞き取りにくさが発生している。
(2)【利用者視点】気になる雑音
教室内のプロジェクターや空調などのノイズがマイクを通じて送られることにより音声が聞き取りづらくなり、集中力の低下や身体的疲労につながっている。
(3)【管理者視点】ミニマルタッチの要求
感染症対策の観点からも「マイクの使いまわしを避けたい」というニーズが高まっている。さらに消毒を含めた準備や片づけに負担が生じている。
(4)【管理者視点】柔軟な運用
教室内での柔軟なレイアウト変更や他教室でのAVシステムの転用など、柔軟な運用が求められている。
(5)【管理者視点】部屋に応じた機器選定
教室の広さや集音・拡声範囲に対して音響機器の規模が不十分で、結果として聞き取りづらさにつながっている。
特に(1)の「音の聞き取りにくさ」は、ハイブリッド授業にとっては致命的な課題と言える。極端な話、音声が聞こえれば、映像が乱れていてもオンライン授業は辛うじて成り立つ。現場は映像の品質向上に比重をおいてコストを投入しがちだが、音声も授業の品質に大きな影響を与えているのは間違いない。
これらの課題を解決するため、シュア・ジャパンは外資系企業でありながら、日本の現場をよく知る担当者が丁寧なヒアリングやサポートを行い、立命館大学のほかにも多くの学校へ、環境・状況に適したサービスや製品を提供している。