業界で高いシェアを占める論文校正企業の知見を活かした、英語論文のAI校正ツール
──カクタス・コミュニケーションズではどのようなサービスを提供されていますか。
湯浅:私たちは大学などの研究機関にサービスを提供しています。英語論文を海外に投稿する際の校正や翻訳から、執筆・投稿後のサポートまで全般的に行っています。これが人の手で論文を確認する「Editage(エディテージ)」というブランドです。また、ここ数年は「Paperpal(ペーパーパル)」というAI校正・翻訳ツールの提供も開始し、人間とAIツールのハイブリッドで研究者の方々を支援しています。
──Paperpalはどのようなツールなのでしょうか。
湯浅:Paperpalはグローバルで2020年10月に提供を開始しました。100%社内で開発したもので、日本国内では2023年3月から本格的に展開しています。
私たちは長年、人の手で論文執筆・投稿のサポートを行ってきました。学術論文は、ジャーナルに投稿する前に必ずネイティブによるチェックが必要で、私たちが英文校正を実施したという証明書を付与することもあります。
とは言え、昨今は世の中に多くのAIツールが登場し、研究者の方も活用しています。私たちもAIを活用してテクノロジーカンパニーへと進化していこうと、Paperpalの提供をスタートしました。
今後、AIのクオリティが上がっていけば、私たちのようなサービスも人の手を介さず、ツールだけで完結する可能性があります。また、研究者がツールをうまく使いこなすことで、論文執筆の時間が短縮されるかもしれません。現段階ではAIだけで完結するサービスではなくても、まずは補足的な役割を担うツールを作りたいといった背景がありました。
──EditageやPaperpalは研究機関でどれくらい活用されているのですか?
湯浅:Editageは論文校正のサービスとして国内No.1のシェアがあり、日本の市場の半数ほどを占めています。Paperpalは、世界的に見ると今年の7月中旬にユーザー数が30万人を超え、現在も伸び続けています。日本では間もなくユーザー数が1万人に到達するところです。
──Paperpalにはどのような特徴がありますか。
湯浅:ほかのAI校正ツールには日常のメールやレポート作成に向いているものが多いのに対し、Paperpalには研究論文特有の単語や言い回しを校正できるという特徴があります。Editageで積み上げてきた膨大な論文データとその校正のデータがあるので、そこで培ったノウハウを発揮できるのがほかのツールにはないPaperpalの強みですね。