今の受験生に最適な情報伝達手段である「YouTube」
近年の受験生は、どのようなステップで進路に関する情報収集を行っているのか──スタディプラスが運営するStudyplusトレンド研究所が2023年12月に実施した「受験生進路モデル調査」では、大学を知るきっかけとして「学校や塾の先生からの紹介」「学校の先輩・友だちから」「家族から」に次いで「YouTube」が4位にランクインし、大学進学情報サイトやX(旧Twitter)などデジタルチャネルが続く。親世代で主流だった進学情報誌もほぼデジタルに置き換えられ、まさに「『スマホ時代』の受験生進路モデル」が顕著になってきた。
「デジタルメディアの中でもYouTubeの利用率が高いのは、インターネットで情報収集する際、スマホで動画コンテンツを検索・閲覧することが当たり前になっているからでしょう。検索サイトを介さず直接YouTube内で検索することも多く、テキストよりも動画で得られる情報を重視していると思われます。効率的に情報を取得できる『タイパ的』なメリットに加え、大学や学生の雰囲気など、テキストでは伝えられない情報を得られることが大きいようです」と、スタディプラス株式会社 クリエイティブコミュニケーション部で部長を務める山田英行氏は分析する。
かつては受験生向けの大学情報が少なく、まずは進学情報誌などで知った大学に資料請求をするなど、意識的かつ能動的な情報収集が必要だった。しかし、さまざまなデジタルメディアで多様なコンテンツに触れられる現在は、ちょっとしたきっかけから大学に興味を持ち、そのままシームレスに検索して情報を得るという「軽やかな」情報収集からスタートする傾向にある。裏を返せば、資料請求やオープンキャンパスなどの前に一定量の情報を調べ、ある程度イメージを持った状態となっている可能性が高い。
なお、TiktokやInstagramなど、数多くある動画メディア・SNSの中でもYouTubeがもっとも高い順位にランクインした理由について、山田氏は「同じ動画でも、興味を持って『調べて知る』メディアとしてはYouTubeの動画が最適ということなのでしょう。大学としても伝えたいことをしっかり伝えられる品質や長さが確保できることから、YouTubeを選んでいるのだと思います」と語る。
もともと、一部の有名大学を除いて、大学の広報・プロモーションにおける課題は山積だと言っても過言ではない。急速な少子化によって出願者の獲得が厳しくなる中、まずは大学の存在を「知ってもらうこと」が大切であり、そこから学部や大学生活についての関心を喚起し、理解してもらうことが必要となる。また、知名度の高い大学でも、イメージが先行してしまい実態とのギャップがあったり、新設学部が知られていなかったりと、伝えなければならないことは少なくない。そのような課題に対し、YouTubeの動画はまさに最適なメディアだと言えるだろう。