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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechビジョナリーインタビュー

「誰かのために創る」ことで中高生の可能性を伸ばす――ライフイズテックの水野雄介氏と讃井康智氏が考えるプログラミング教育

EdTechビジョナリーインタビュー 第14回

 2011年にスタートした中高生向けIT教育プログラム「Life is Tech !(ライフイズテック)」を運営するライフイズテック株式会社。通学型スクールと短期集中のキャンプには延べ5万2000人が参加し、ディズニーとタッグを組んだプログラミング学習教材「テクノロジア魔法学校」も注目を集めている。近年、急速にプログラミング教育やクリエイティブ教育への関心が高まる中、先駆者としての思いや公教育・自治体との連携、教育者の育成などについて同社代表取締役CEOの水野雄介氏と、取締役の讃井康智氏に話を伺った。

未来を拓くIT分野で、中高生の可能性を最大限に広げたい

――まずはお2人のこれまでのご経歴、そして起業されるまでの経緯についてお聞かせください。

水野氏(以下敬称略):大学院在学中、高校で非常勤の物理講師を2年間務め、その後人材コンサルティング会社を経て、2010年7月にライフイズテックを設立しました。起業の少し前、勉強会で讃井と席が隣同士だったことで意気投合し、今こうして一緒に仕事をしています。ちなみにライフイズテックは3人で起業したのですが、立ち上げ直後に讃井が4人目として入社しました。ちなみに5人目のメンバーとも同じ勉強会で知り合いました。しかも讃井の反対側で私の隣に座っていたんですよ(笑)。

ライフイズテック株式会社 代表取締役CEO 水野雄介氏
ライフイズテック株式会社 代表取締役CEO 水野雄介氏

讃井氏(以下敬称略):偶然ってすごいですね。当時、私は一度就職した後に大学院に戻り、教育政策や学習科学などの研究をしていました。水野と2回目に会った際、「海外で行われているような中高生向けの『ITキャンプ』をやりたい」と聞き、ぜひ協力したいと思い参加しました。私は福岡出身で、高校時代にメディアアートを学びたかったのですが、教えてくれる場所がなく諦めた経験がありました。それから10年経っても状況はほぼ変わらず、自分と同じような悩みを抱えている中高生がいるのではないかと考えていたのです。それがライフイズテックに参加した最も大きい動機ですね。しばらくは大学院の研究とライフイズテックの二足のわらじを履いていましたが、ここなら実践しながら研究も続けられると感じ、現在は専業で取り組んでいます。

ライフイズテック株式会社 取締役 讃井康智氏
ライフイズテック株式会社 取締役 讃井康智氏

水野:「中高生に教える」って、本当に尊い仕事です。学生時代にはピンときていませんでしたが、講師をやってみて教育のすばらしさを実感し、自分の一生の仕事にしようと思いました。教員になる方法もありましたが、「中高生の可能性を最大限に伸ばす」といった切り口で考えたとき、いったい何ができるのだろうと思って調べていたところ、海外で行われているITキャンプの事例を知りました。実際に、学校で生徒たちが話すのはパソコンやゲーム、アニメといったIT系の話題が多く、ただしあくまで受け手として楽しむ「ユーザー」なんですよね。つくることに興味はあるけれど「オタクと言われたくない」「やっても褒められない」と話すのです。人は好きなものなら伸びるものでしょう。そして得られる能力やスキルは、シリコンバレーなどで切望されているもの。つまり、社会と接合できれば、彼らの可能性を広げられると考えました。

 そしてもう1つ。未来を創るイノベーターを育てるには、裾野を広げることが大切だと言われます。これからの社会を創る上で大きな役割を果たすITに多くの中高生が親しみを持つことによって、そうしたイノベーターも多数登場してくるのではないかと思ったのです。

――創業後はどのようにして事業を立ち上げ、展開されてきたのですか。

水野:まずはスタンフォード大学で行われていたITキャンプをフランチャイズ展開しようと思って交渉しました。しかし当時は実績もお金もなく、メンバーも全員プログラミングができません。そのため残念ながらうまくいかず、さすがに打ちひしがれましたね。そこで自分たちでゼロからつくろうと発奮し、まずはプログラミングができるようになりたいと考えました。大人向けのiPhoneアプリ講座の講師に教えてもらったり、有名な中学生プログラマーにTwitterで連絡をとってプログラミングをどう学ぶか相談したり……思い返すと試行錯誤の繰り返しでしたね。

讃井:本当に(笑)。まず春夏冬の長期休みに開催する単発の「IT・プログラミングキャンプ」からスタートし、次に海外研修プログラムである「グローバルキャンプ」、通学型の「スクール」と展開していきました。さらに経済格差や地域格差の問題を解消すべく、オンライン教材である「テクノロジア魔法学校」の提供も開始しました。キャンプやスクールは物理的・費用的な問題があり「行きたくても行けない」という生徒も少なくないため、オンラインで楽しく学べるレッスンが低価格で提供できれば、多くの子どもたちの可能性を広げることができると考えたのです。

2020年は新型コロナウイルスの影響により、キャンプはオンラインで開催された
2020年は新型コロナウイルスの影響により、キャンプはオンラインで開催された

「楽しさ」を軸に学習体験を磨き、オンライン教材の継続率を向上

――プログラミング学習をさまざまな形態で提供されていますが、サービスを開発する上で特に意識されていることはありますか。特に「テクノロジア魔法学校」にはたくさんの工夫が盛り込まれていると伺います。

水野:どのような形であっても「学び」を提供する上で強く意識しているのは「楽しさ」です。中高生は本当に正直で、面白くないと絶対にやらないんですよ。大人なら、たとえ会社の研修がつまらなくても参加するでしょう。でも、中高生はゲームや遊園地のほうが楽しかったらそちらへ行ってしまう。ならば、より楽しいもの、いっそ「自分たちから行きたくなるもの、やりたくなるもの」にしたいですよね。純粋に「好きなこと」「楽しいこと」はずっと続けられるし上達するというのは、学びの大鉄則ですから。

 また企業としても、事業継続性を鑑みて「続けてもらえるプログラム」にしなければいけません。その意味でも「楽しさ」は重要なファクターだと考えています。そこで目安としたのが「継続率」です。例えば、ハーバード大学といった一流大学の授業が無料で受けられる「MOOCs(ムークス:大規模公開オンライン講義)」の修了率はわずか5~10%と言われています。その理由は諸説ありますが、1つはUX(ユーザー体験)の問題が大きいと考えています。私たちは「LX=Learning Experience(学習体験)」と呼んでおり、学びを楽しい経験として感じることが大切なのです。「テクノロジア魔法学校」では継続率・修了率をKPIとして、LXの向上を強く意識しました。

 その1つとして取り入れたのが、ゲーム的要素です。ゲーミフィケーションというより、プログラミングの学びそのものをロールプレイングゲームとして体感できるようにしました。スクウェア・エニックスでCTOを務めていた橋本善久に来てもらったのも、「ゲーム的楽しさ」を盛り込んでもらうためでした。

讃井:「テクノロジア魔法学校」にはディズニーキャラクターがたくさん登場するだけでなく、学ぶ「楽しさ」が思いっきり詰めこまれています。2018年4月のローンチ時点では小中高生向けを想定していましたが、実際には大人の方も楽しまれていると聞きます。

ディズニーの世界に触れながら学べる「テクノロジア魔法学校」
ディズニーの世界に触れながら学べる「テクノロジア魔法学校」©Disney

 そして「テクノロジア魔法学校」の手法を活かしながら学習指導要綱に合わせた内容を、学校向け教材「Life is Tech ! Lesson(ライフイズテックレッスン)」として2019年4月より提供開始し、現在は中学校を中心に1000校・100万人以上にご利用いただいています。ディズニーキャラクターは登場しませんが、基本的には同じ考え方でつくられており、プログラミングの楽しさは十分に提供できていると自負しています。

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第3世代型支援で自立的な学びを創出し、現場の負担を軽減

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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