家庭で用意するなら発達段階に応じたICT機器を
――では、家庭にはどのようなICT機器があると望ましいでしょうか。
学年にもよりますが、スマホ、タブレット、パソコンと、発達に応じてだんだんと、バリエーション豊かなことができるようになっていってほしいですね。そうなると特に、キーボードは必要になると思います。
この件は「鶏と卵」のようなもので、キーボードを使わない子どもはあまり長い文章を打たないので、なくても困らないのです。でも、ある程度長く書くようになると、フリック入力よりもキーボードを使うほうが早いと考え、そこからローマ字入力を勉強し始める。そのため、環境はあらかじめ用意したほうがいいと思います。
また、外付けモニターは、置く場所の問題はありますが、家に1台あると便利です。大きい画面で見たほうがわかりやすい情報はたくさんあります。休校期間中も、学校からの教材などを見る際には、大きい画面のほうがより考えが深まると感じました。
大人も、小さい画面で細かい表などを見るのはストレスに感じて、気付けるものも見落としてしまうことがありますよね。私自身が文章を校正する際も、大画面で作業したほうが質が高くなる気がします。
また、授業動画も大きい画面のほうが、伝わるものがあります。実際にスマホの小さい画面と見比べてみて、多くの発見がありました。
――発達段階のお話もありましたが、中高生になると社会とつながる学びも増え、「大人がやっていること」に近い活動もあると思います。その際にも、大きな画面があるといいのでしょうか。
学校では、iPadを使っている子どもたちは、画面をアプリごとに分割する「スプリットビュー」機能を使いこなし、メモとりながら検索を行うことをしています。マルチタスクで使う際は、たくさんの情報を見やすくする大きい画面があるといいでしょう。
――最近は映像制作を行う子どもも増えているそうです。こうした場面でも力を発揮しそうですね。
はい、それは確かです。子どもたちのほうが、新しい使い方をどんどん見つけていくでしょう。
学校の図書館のような場所に外部モニターがあれば、自分の端末を持っていってつなげられる。誰かがやり始めたら、「これいいな」と、どんどん広がっていくと思います。映像制作もプログラミングも、「誰かが作ったのを見て面白いと感じ、やりたくなる」という伝播性は、公教育や学校の持つ大きな役割です。すばらしい知識やアイデアを持っている子どもがクラスに1人いると、全体にも良い影響が出ますね。
最初はスマホやタブレットで始めて、その先に「もっと本格的にやりたいからパソコンが欲しい」「大きな画面につなげたい」といった広がりがあればいいなと思います。