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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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グローバルな視点から探る、これからの時代に必要な幼児教育

アフターコロナで学校が担う役割はどう変わる?【グローバル・ティーチャー賞トップ10の正頭先生に聞く・後編】

グローバルな視点から探る、これからの時代に必要な幼児教育 第3回

 2030年の社会・経済を概観し、将来求められる人物像を描きながら、そこから見えるSTEAM教育の本質や幼児教育のあり方について国際的かつ多角的な視点から迫る本連載。前回に引き続き、今回も著者である株式会社プレイシップ 共同創設者の花岡直毅さんと、教育界のノーベル賞とも呼ばれる「グローバルティーチャー賞(Global Teacher Prize)」の2019年のトップ10ファイナリストである、立命館小学校教諭の正頭英和先生との対談を通じ、「STEAM教育」や「主体的・対話的で深い学び」が注目される時代背景や、これからの学校の役割について考察します。

立命館小学校 教諭 正頭英和先生
立命館小学校 教諭 正頭英和先生
株式会社プレイシップ 共同創設者 花岡直毅さん
株式会社プレイシップ 共同創設者 花岡直毅さん

変化の兆しが見える教育界、問われる入試や評価のあり方

花岡直毅さん(以下敬称略):社会が求め、国が個性を重んじつつ思考力や主体性などを育む教育を要請しているといっても、保護者や学校現場の現状など解決すべき課題がたくさんあり、なかなか難しいことを実感しました。その中で、変革のために有効なトリガーとなるものとは、どこにあると思われますか。

正頭英和先生(以下敬称略):よく言われていることではありますが、1つは「大学入試」だと思います。偏差値で上から順番に大学に振り分けられ、成績が良いから医学部、理系が得意だから工学部……と学部も大体決まり、その先の就職も大体決まってしまう。「何をして生きていくか」といった個人の意思や適性ではなく、勉強での偏差値で振り分けられて人生が決まるという、おかしなことになっています。

 そうなると、最も変わるべきは社会人の入り口でしょうか。画一的なリクルートスーツ姿に筆記試験と面接だけで、新卒で一斉に決まるというのも異様です。

花岡:確かにそうですね。「個性のある人材がほしい」などと言っているにもかかわらず、行動が伴っていない企業が多いですね。それでもインターンや中途採用など経験や適性重視の採用も増えてきていますし、コロナショックなどで変わっていくとは思うのですが。

正頭:部分的な変化は起きつつありますね。N高等学校から東大に進学したり、高等学校卒業程度認定試験を受験したり。通信制の学校は以前、全日制の学校になじめない生徒のためにあることが多かったのですが、いまや積極的に選ぶ時代にもなってきています。

 大学もここ10年は大学名から学部名やコース名で選ぶ傾向に変わってきていましたが、今後はその流れが顕著になり、教授やゼミなど「何を学ぶか」といった選び方をするようになると思います。少子化で大学も積極的なアピールが必要になり、インターネットなどで情報が発信できるようになったことが大きいと思うのですが、健全な方向に進んでいると言えますね。先生も選ばれるために学び続ける必要があります。

花岡:教育のニーズが変われば、先生に対する評価も変わり、教育の全体像も変わるかもしれません。どうしたら、新しい教育を自ら構想し、実践していこうとする正頭先生のような先生が増えるのでしょうか。

正頭:僕自身が新しい教育について考えるようになったのは、さまざまな価値観や考え方に触れる機会が多いからだと思います。「イノベーションは既存のアイデアの組み合わせ」とよく言われますが、実際、私がアイデアを思いつくのは、新しい刺激を外から受けたときなんです。そのためには自分と異なる人たちとの交流が必要ですが、環境を変えることが一番だと思います。引っ越しや旅行、転校なんかもいいですよね(笑)。

 子どもについても、個性は絶対的なものではなく、環境によって変わる相対的なものだと考えています。僕が引き出せなかった子の個性も、ほかの先生やほかの学校なら引き出せるかもしれない。個性が輝く場所は、誰にでも必ずあると信じています。

花岡:確かにビジネスシーンでも、アイデアを生み出すには場を変えろと言われますし、配置が換わると途端に生き生きとする人もいます。場所を変える恩恵については私も実感がありますね。ただ、そうした絶対評価が難しい状況で、評価すべきなのかどうか、するとしたらどうしたらいいのか、気になることではあります。

正頭:成績はともかく、評価の目的は「モチベーションを上げられるかどうか」です。そのためには評価の仕方ではなく、誰が評価するかが重要となります。つまり、見知らぬ人よりも、子どもとの関係が深い人、すなわち保護者や先生による評価が大切です。そして、ほめるばかりでなく、適切なフィードバックも重要でしょう。

 子どもも学習意欲があるときは、改善すべきところやそのための方法などを求めるんですよ。それを適切に行うためには、大人自身も新しい観点や視野などを得て学ぶ必要がありますし、そもそも評価する人たる大人がどんな人間なのか、子どもはしっかり見ています。そこは、先生も保護者も自分を磨き、学び続ける背中を見せる必要があるでしょう。

次のページ
先生や保護者など「大人」が子どもたちに提供すべきものとは

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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