ChromebookやGoogle Classroomをどう使う? 川越南高校での実証授業
埼玉県立川越南高校は、埼玉県教育委員会による「未来を拓く『学び』プロジェクト」の研究開発校として、ICTを活用した「協調学習」の取り組みを進めてきた。また、平成28~29年度にはこうした授業実践を県内に広めることを目的として、「近未来学校教育創造プロジェクト」の検証校として選定され、タブレットやプロジェクターを先行的に導入し、「協調学習」をはじめとする教育実践に一層まい進してきた。
プロジェクト全体が、「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指しており、本年度は「次期学習指導要領に対応したICT環境整備事業」としてタブレットやプロジェクターといったICT機器を指定校で整備。川越南高校では、研究授業や研究協議会が行われた。
今回取材したメディア向けの公開授業では、「化学」と「情報の科学」の2教科を実施。実際にどのようにChromebookやGoogle Classroomを活用しているのか見ることができた。
動画を使った協調学習で発想を促す――化学
まず2年生の化学の授業では「有機化合物の構造推測」の単元を扱う。授業はトランプでグループ分けするところからスタート。生徒たちは慣れた様子で席を移動して、3~4名1組のグループを作っていた。
まずは10分間程度、復習も兼ねてプリントの問い(1)(2)をグループで考える。
最初こそ一人ひとり問いを読むなど静かな様子だったが、徐々に自然にグループ内で会話が生まれてくる。担当教諭の藤元先生は、各グループの様子を見て回りながら、必要に応じて声をかけることを忘れない。10分たったところで、藤元先生が黒板で(1)(2)の解答・解説を行った。
続いて(3)の問いに移る前に、Chromebookがグループに1台配布された。これは、Google Classroomで共有されている動画やリンク先のサイトをチェックしたうえで、答える問題だ。
問いの内容は「お酒に強い人と弱い人がいるのはなぜ?」といった身近なもの。アルコールと健康や、パッチテストについての動画を見ながら、生徒たちは随時必要な情報のタイミングまでタイムバーを戻して情報収集していた。
中には、ログインパスワードを読み間違えてなかなかアクセスできないグループもあったが、授業内で追いつけたようだ。Chromebook自体の利用については、グループを越えてたずね合い、難しさを感じている様子の生徒はあまり見受けられない。
(5)の問いは、Web検索も駆使して調査し、答える問題だ。生徒たちは「ワイン 酸化 原因」などで検索をかけていた。
(3)~(5)の解答は、グループでまとめてGoogle Classroomで投稿する。教師がリアルタイムで回答状況を把握できるだけでなく、生徒同士が他のグループの解答を見ることもできる仕組みだ。
最後は、プロジェクターで生徒たちの解答を映し、藤元先生が解説した。グループの解答を一通り見たうえで、押さえるべきポイントを説明する。
授業後、生徒にChromebookやGoogle Classroomを活用した授業について印象を聞いてみると、「動画が分かりやすい。他の人の解答が共有できるのがいい」とポジティブな回答が返ってきた。協調学習についても、「テストでも理由を聞かれることが多いので、なんでそうなるのかを考える時間が大切。(協調学習は)『考えなきゃ』と思うのでいいと思う」と必要性を実感していた。
授業の前には、どんな準備をしているのだろうか。担当の藤元先生は、「動画を探し、質問フォームを作り、プリントを用意するといったもの。YouTubeで合いそうな動画を探すことで、一からコンテンツを用意する必要はなくなります。情報を取捨選択してほしいと思っているので、正解をピンポイントで動画にしないよう気をつけています」と動画教材の活用ポイントを示した。また、「以前草津温泉まで行って動画を自作したことがありましたが、かなり骨が折れる作業でした」と苦笑する。
授業中意識していることについては、「ヒントもなるべく言わないようにして、生徒の学び合い、発想を促すような声かけを試みています」とアクティブラーニングを後押ししている様子だった。
また、アクティブラーニングにGoogle ClassroomのようなICTを用いることで、「動画で生徒に訴えやすくなり、生徒のモチベーションをあげられている。また、意見の比較がやりやすくなったのは大きい」と語った。