包括的に教育現場を支援するAWSの新プログラム「ITX for Education」
発表会ではまず、AWSの執行役員 パブリックセクター技術統括本部 統括本部長を務める瀧澤与一氏が登壇し、同社の教育DXに向けた取り組みと、ITX for Educationの詳細について説明した。
瀧澤氏は、クラウドサービスが持つ最大の価値は「テクノロジーの民主化とデータの民主化」にあると述べ、誰もがテクノロジーを活用し、その恩恵を受けることの重要性を強調した。それは教育現場においても例外ではなく、AWSは文部科学省の「教育DXロードマップ」の方針に共感し、日本の初等中等教育における「教職員の高い業務負荷」「多様な学びのための環境整備」「教育データの活用不足」といった課題解決に取り組む姿勢を示した。
この課題意識のもと、今回発表されたのがAWSの新しい包括的支援プログラム「ITX for Education」である。このプログラムは「次世代校務DXの推進」「多様なEdTechサービスの提供」「生成AIによる教育データの分析・活用の推進」という3つの領域で構成される。
瀧澤氏によると、このプログラムは「これまでさまざまな教育に関わるパートナー、お客さまと会話する中で、DX推進に向けて『こういうのがあったほうがいい』という意見を取りまとめ、再構成した」ものだといい、現場のニーズに基づいた支援であることを述べた。
「次世代校務DXの推進」では、システムの新規構築や移行などにに先立つアセスメントや移行計画・調達プロセスの支援、データプラットフォームの検討支援、ゼロトラストネットワークを活用した安全なネットワークの構築支援が、主に無償プログラムとして提供される。これにより、教育機関は調達や移行の複雑なプロセスを円滑に進めることが可能となる。
「多様なEdTechサービスの提供」では、AWSを活用して開発されている多様な教育機関向けのサービスを、各自治体・学校の要求や課題に応じて適切に導入するための支援を行う。
そして「生成AIによる教育データの分析・活用の推進」では、AWSの20年以上にわたるAIへの取り組みをベースに、安全性を重視したサービスの提供を目指す。特に、生成AI開発者向けのサービス「Amazon Bedrock」は、「Amazon Titan」やAnthropicの「Claude」など、さまざまな企業が提供するAIの基盤モデルを統合的に利用できること、セキュリティ機能「ガードレール」によるハルシネーション(虚偽情報の生成)リスクの低減、さらに基盤モデルによっては日本国内のサーバーで推論を行いデータを国内に閉じることが可能である点を特徴として挙げた。
最後に瀧澤氏は、データの利活用や教材の作成において、生成AIに自然言語で指示することで学習データを分析したレポートを作成したり、テスト問題を作成したりするサンプル実装を紹介し、生成AIが教員の業務支援や個別最適な学習支援に大きな可能性を持つことを示した。

