埼玉県入間市・愛知県春日井市におけるroom-Kの活用
続くトークセッションでは、実際にroom-Kを導入している自治体から、埼玉県入間市役所 学校教育課の小椋亮太氏、愛知県春日井市教育委員会事務局 学校教育課の仲野高弘氏が登壇した。
いずれの自治体も、これまでさまざまな施策を実施していたが「どこにもつながれない子どもがいること」に課題感があり、room-Kの導入によってよりよい支援を実現すべく模索しているという。なお、入間市は2022年から、春日井市は2023年からroom-Kを利用している。
入間市では、学習支援が必要な子どもに対し相談支援体制の充実や家庭支援などを行ってきたが、なかなか成果が上がらず、令和3年度から不登校対策支援も含めた教育支援を強化。「こどもまんなか」を掲げ、授業改善や学校の魅力向上に取り組んできた。例えば「学び合い学習」もそのひとつであり、子どもたちが協力して学び合うように授業の形を工夫している。その結果、協働する力や自己肯定感、学級への所属感が高まり、質の高い学習集団を作ったことで心理的安全性が育まれ、不登校の増加率が減少しているという。
また「教育と福祉と保険の連携」を掲げ、0歳から18歳まで切れ目なく支援を行うとしており、あらゆる関係機関が学校で支援会議を実施。連携のルールやマニュアルも整備し、教育分野だけでは解決できない課題に対して多職種で重層的な支援を行っている。
小椋氏は「私たちのような指導主事や学校管理職も多種職連携などの研修を受け、今後はさらに教育と福祉・保健の連携が進むことが期待される。そうした中でroom-Kの利用が始まり、オンライン支援が不登校対策のひとつの手法となることを実感した」と語った。
春日井市でも不登校児童生徒数はコロナ禍を経て増加傾向にあり、さまざまな支援に取り組んでいるものの厳しい状況にあるという。不登校対策の取り組みとして、地域の第三者が子どもの話を聞くという「心の教室相談員」を全小学校に配置していること、すべての中学校に校内フリースクールである「登校支援室」を整備していること、市内に「教育支援センターあすなろ」を開設していることなどが紹介された。また、学校教育課の職員としてスクールソーシャルワーカーが各校を巡回し、学校と連携してさまざまな支援につなげる役割を担っている。こうした支援に加えて、room-Kを導入することになった。
仲野氏は「どんな状況にいる子どもも努力しており、がんばっていることをしっかりと評価することが大切。その意味で、オンラインでも、がんばったことを『出席』として認めることが重要と考えている」と語った。なお、同市は2年前にフリースクールなど民間施設についてのガイドラインを策定し、「出席認定」については各学校の校長先生の判断とし、room-Kについても同基準としているという。