持続性も考慮──安心して失敗できる環境を用意
──そういったTRY FIELDの活動に学生が参加する場合、どのような形で携わるのでしょうか?
TRY FIELDのコンセプトとして、学生が安心して挑戦と失敗をできる場所を目指しています。小中高校も大学も、学生が「転ぶ前」に手を差し伸べることが多いのですが、TRY FIELDでは学生のチャレンジを後押しします。チャレンジし、仮に失敗したとてもそこから得たものは次に生かすことができます。社会へ出た後に大きく失敗することは難しいですが、TRY FIELDでは豪快に失敗していい。自転車に初めて乗るときのように「派手に転ぶ」ことを応援したいですね。大学の教員だけでなく、企業や市民の方が一緒になって見守ることで、安全に失敗できる環境を整えたいと考えています。
具体的な学生の関わり方は、いくつか想定できます。ひとつは、新棟に設けられている施設や、そこで開催されるイベントを訪れて企業や地域の方々と交流するというパターン。例えば、日本マイクロソフトが運営する人材育成拠点の「Microsoft Base」でのイベントでは、同社の技術者が最先端のAIについて直接講義を行います。
また本学では長年、起業家を育成するアントレプレナー教育を充実させてきました。起業を目指す学生は、新棟1階にある、社会課題解決に取り組む活動拠点「SEEDS(シーズ)」をディスカッションの場として活用したり、4階のコ・クリエーションエリアで企業の方と協業したりもできます。
すでにコ・クリエーションエリアを拠点として、学生の知恵を借りたいという企業も出てきています。そういった企業の課題解決に関わるといったケースもあり得るでしょう。
──TRY FIELDは、学生だけが何かを教わる場所ではなく、企業や行政など多様な立場の方が影響し合って、それぞれが何かを得られる場所なのですね。
そうですね。これまでの産学連携は、大学からの技術移転など、大学と企業のどちらかが与える見返りにお金をもらったり、寄付を受けたりといった関係性でした。
しかし、TRY FIELDという場所には、お互いが持って帰れるものがある。企業も本学の教員も、さらには小中高校の先生方も、何か得られるものがある仕組みです。一方が与えるだけの関係は「お金の切れ目が縁の切れ目」というように、続かないものです。ですから、参加する人たち同士がWin-Winになる活動を目指しています。