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学校と社会をつなぐ取り組み事例

単なる東京拠点ではない──卒業生と学生、教職員が多様につながる場「滋賀大学コミュニティ・プレイス」

 卒業生が出身大学を支援する場合、寄付金という形が一般的だ。その中で「滋賀大学コミュニティ・プレイス」は卒業生による支援の形として新しい。卒業生が代表取締役社長を務める人材系企業、クライス&カンパニーが場所を提供し運営することで、金銭的支援にとどまらないコミュニティ面での支援を実現。このコミュニティを拠点に、卒業生を含めた産学連携の取り組みが活発になることが期待される。コミュニティ・プレイス誕生の背景や今後の展望について、滋賀大学の学長を務める竹村彰通氏と、株式会社クライス&カンパニー 代表取締役社長の丸山貴宏氏に話を伺った。

きっかけは、地方大学生ならではの就活の課題

──「滋賀大学コミュニティ・プレイス」誕生の背景を教えてください。

丸山氏(以下敬称略):以前から地方の大学共通の課題として、学生が東京で就職活動をする際の居場所がないという問題を耳にしていました。お金を節約するために夜行バスで東京に来て、面接の時間までファミレスやカフェで時間をつぶす学生もいます。しかし最近はカフェも混んでいますし、長居すると追い出されてしまうこともあるようです。

株式会社クライス&カンパニー 代表取締役社長 丸山貴宏氏
株式会社クライス&カンパニー 代表取締役社長 丸山貴宏氏

 滋賀大学の場合は、以前は複数の大学が利用できるサテライトオフィスを契約していたそうですが、混雑していることもあってあまり使われていなかったようです。

 学生のために何かできないかと考えていたところ、弊社に貸し出せるスペースができたんです。私たちはキッチンやインテリアの事業も手がけており、このコミュニティ・プレイスはショールームの移転によって空いた場所でした。

 ファミレスの代わりに、ここを就職活動の拠点にしてもらえたらと、母校の滋賀大学にこの話を持ち掛けたところ、ぜひという回答を頂き、今年の7月にオープンしました。

──実際に、学生さんはどのように利用しているのでしょうか。

丸山:先述の課題はコロナ禍前に聞いた話で、今はほとんどの企業が最終面接以外はオンラインで実施しているそうです。最終面接は交通費も出るので、学生は新幹線で上京し、あまり時間を持て余さずに済んでいます。

 一方、就職活動が本格的に始まる前にインターンで上京する学生も増えています。先日もインターンが始まるまでの時間をコミュニティ・プレイスで過ごしている学生がいました。やはり朝早くに東京に着いたとのことで、コミュニティ・プレイスのソファで少し眠ったそうです。ここには着替える場所や洗面所もあるので、「このような場所があって助かります」という声を聞きますね。

 ただ、コミュニティ・プレイスの用途は「就職活動する学生のため」に限定しているわけではありません。そのほかにもさまざまな用途で使っていただいています。

もともとショールームだったこともあり、天井が高く開放的な空間となっている
もともとショールームだったこともあり、天井が高く開放的な空間となっている

──そのほかの使われ方には、どのようなものがあるのでしょうか?

丸山:大学職員の方が出張時や企業との打ち合わせに利用するケースもあります。教員の方が学会に参加するために東京に来た際、作業スペースとして利用されることもあります。

 また、卒業生もよく利用しており、学生に限らず多くの滋賀大学関係者が自由に活用しています。

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学生と卒業生、企業と大学がつながるコミュニティに

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

 IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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