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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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EdTechZineオンラインセミナー

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未来の学校現場考──教員のサステナブルな働き方を考える

教育実習を先生個人の負担にしない──未来の先生を増やす「仕組み化」のヒント

未来の学校現場考──教員のサステナブルな働き方を考える 第9回

 夏休みが終わり、教室に子どもたちの声が戻るころ、秋学期の教育実習のシーズンを迎える学校もあるのではないでしょうか。受け入れや指導の準備は、現場の先生方にとって大きな負担となる一方、教育実習は未来の教員を育てる重要な入り口でもあります。この機会を「しんどい」で終わらせるのか、それとも「ここで働きたい」に変えるのか。本来の価値を十分に発揮させるためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。教員のキャリア支援事業を行う株式会社クジラボ代表・森實泰司氏に伺いました。

株式会社クジラボ 代表取締役 森實泰司(もりざね だいじ)氏

 株式会社リクルートで採用コンサルタント、ITベンチャーで人事責任者経験後、人事コンサルタントとして独立。現在も人事顧問に従事するなど、教員をはじめ数多くの転職者と関わる。2019年に学校法人の事業を承継し私学経営を行うかたわら、2021年に教員のキャリア支援事業を行う株式会社クジラボを創業。ミッションは教育のオープン化。

現場の先生も実習生も疲弊している──教育実習の現状

──教育実習の受け入れについて、学校現場ではどのような声を聞きますか?

 やはり一番多いのは「しんどい」という声ですね。「毎年実習生が来るけれど、正直、精神的にも体力的にも疲れる」「授業準備や指導で時間が取られ、普段の業務が回らない」「失敗したときのフォローや精神的ケアまでとなると負担が大きすぎる」といったものです。授業後に振り返りの時間をしっかり取ると、その日の仕事がさらに押して、結局は家に持ち帰ることになってしまいます。指導の多くは先生個人の善意に依存し、時間外で行われることも少なくありません。

 現場は慢性的に多忙で、余裕がないと「また負担が増える」と感じてしまう。中には「学校の先生にならないのなら、正直教育実習にきてほしくない」と、本音を漏らす先生もいます。そうした空気は実習生も敏感に感じ取ります。たとえ誰も悪気がなくても、「自分は歓迎されていないのでは」と受け止めてしまいかねません。本来は未来の仲間を増やす大切な場であるはずが、今のままでは現場の先生も実習生も疲弊してしまいます。

──実習を経験して、教職を諦める学生もいると聞きます。

 そうなんです。現場の先生が昼休みも休めず、放課後も会議や書類対応で疲弊している姿を間近で見て、「自分には厳しい」と感じる学生は少なくないでしょう。もともと教職志望だった学生が「教員には向いていない」と感じて諦めてしまうケースも珍しくありません。

 本来、教育実習は教職を志す学生が「自分も教員として働きたい」と感じるきっかけになり得る大切な場です。授業づくりや子どもたちとの関わりを通じて、教員として働くことの魅力ややりがいを体感できる──そんな機会であるはずです。しかし実際には、授業以外の雑務や会議の準備、保護者対応、同僚とのコミュニケーションの難しさなど、教員生活の負の側面が目立つ場面も少なくありません。もちろん、「そんな軽い気持ちならやらないほうがいい」という意見もありますが、今のように教員不足が深刻化している状況では、教育実習は先生を増やす大きなチャンスでもあります。そこで「もうやめよう」と思わせてしまうのは、あまりにももったいないと感じます。

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民間のインターンシッププログラムに学ぶ、設計のコツ

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この記事の著者

津田 迪加(ツダ ユカ)

 公立小学校教員を11年経験後、教育の現場で培ってきた傾聴スキルや言語化スキルを生かし、フリーランスライター・編集者として活動中。株式会社クジラボに2021年創業時より携わり、教員向けイベントの企画・運営も行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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