小中高生が将来を思い描ける場に
──義務教育課程でも「探究的な学び」が注目されており、学校外とのつながりが重視されています。TRY FIELDでは小中高校との取り組みもあり得ると思いますが、具体的にはどのようなことが可能でしょうか。
実は新棟が完成する前の昨年度から、小中高生とどのような活動ができるのか探っており、昨年9月には立命館守山高校の生徒さんも参加したイベントを開催しました。アドビの画像生成AIツールを活用し、自分のアイデアを伝える表現を学ぶワークショップで、大学生と高校生に同じグループで作業してもらい、プロンプト(指示の言葉)を入力したら、誰でも簡単に画像を作れることを体験してもらう内容です。
個人的には、年齢が離れていることもあって大学生が一方的に高校生へ教える形になることを懸念していたのですが、大学生・高校生双方からの評判はよいものでした。生成AIで画像を作る際には、プロンプトの言葉のセンスやアイデアが問われます。その点では、大学生と高校生に差はなく、むしろ「発想の着目点が違う」ということを楽しんで、お互いに学びを得ていた様子です。
また、高校生にとっては、自身の将来をイメージする機会になったようです。ある生徒さんは、大学に対して「何か難しいことを勉強する場所」という印象を抱いていたそうです。しかし、実際の大学の環境を目の当たりにし、直接大学生と話すことで、具体的なイメージが湧いたといいます。ワークショップの合間も、大学生に質問している生徒さんがいて、話が弾んでいました。
さらに、高校の先生と大学の教員の交流も生まれました。担任を持ち、生徒との距離が近い高校の先生から、今の子どもたちの生きた情報を聞くことができるのは、大学の教員にとっても学びが大きかったと思います。
新棟完成前に実施したワークショップでこれだけの相乗効果がありましたから、これからもこうしたイベントは続けていく予定です。新棟には「Learning Infinity Hall」という、オンライン・対面の両方に対応したハイブリットな学びの空間があるので、そちらを活用してさまざまな学校と交流していきたいですね。
──小中高校の先生がTRY FIELDに興味を持った場合、まずは社会共創推進本部にコンタクトをとるのがよいでしょうか。
いえ、新棟にはいつでも気軽に来ていただいて、見て回っていただければと思います。新棟の1階部分は多くが一般に開放されています。「SP LAB」という9つのガラス張りのラボもあり、見学は自由です。Microsoft Baseにも10時から18時まではスタッフが常駐しているので、自由に出入りしていただいて構いません。食堂も外部の方が利用できるようになっています。もちろん、そのうえで何か一緒に取り組みを始めたいという場合は、われわれ社会共創推進本部にお問い合わせください。
──最後に 「TRY FIELD」での共創に興味のある小中高校の先生にメッセージをお願いします。
企業や自治体、研究者、大学生が集まるTRY FIELDで、小中高校の先生や児童生徒の皆さんと共創することには、無限の可能性があると思います。ですので、トライすることを見つけるために、まずはTRY FIELDを訪れていただきたいです。何か一緒に取り組むことができればうれしいですね。
大学と社会をつなぐ共創プラットフォーム「TRY FIELD」の公式サイトでは、イベントの開催情報などを掲載しています。TRY FIELDの取り組みにご興味のある方はぜひご覧ください。
また、立命館大学 大阪いばらきキャンパス新棟の設備については、EdTechZineの記事「立命館大学・大阪いばらきキャンパスに新棟が誕生──挑戦と共創の空間「TRY FIELD」とは?」で詳しく紹介しています。