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「Google for Education」を活用した甲府市の学び

全教員で「Google 認定教育者」取得を目指した公立小学校の挑戦とその効果とは

Google for Educationを活用した甲府市の学び 第3回:甲府市立石田小学校インタビュー

 自治体と学校が連携してGIGAスクール構想に取り組む山梨県甲府市。2021年4月末、市内の全小中学校に約1万2700台の「Chromebook」を一斉導入し、「Google for Education」チームの協力を得ながら、各校で授業や学校行事などでのICT活用を進めている。この連載では、教育委員会・小学校・中学校の3つの現場を取材し、それぞれどのようにICT活用を進めてきたか、事例を交えて紹介している。最終回となる本稿では、2021年度に校長をはじめとした全教員が「Google 認定教育者」の取得を目指して「校内研修」で学び合い、全員でICT活用スキルを育んできた甲府市立石田小学校を取り上げる。2021年度に同校の校長を務めた雨宮秀樹氏と、研究主任の堀有佑教諭、情報主任の川村航平教諭にインタビューを行った。

編集部注

 肩書はすべて2022年3月時点のもので、4月の異動・退職等により一部の方は現職と異なっています。

2021年度まで甲府市立石田小学校の校長を務めていた雨宮秀樹氏(現:甲府市立北新小学校 校長)
2021年度まで甲府市立石田小学校の校長を務めていた雨宮秀樹氏(現:甲府市立北新小学校 校長)
2021年度に甲府市立石田小学校で4年生の担任と、研究主任を務めた堀有佑教諭(現在は退職)
2021年度に甲府市立石田小学校で4年生の担任と、研究主任を務めた堀有佑教諭(現在は退職)
同校の情報主任を担当する川村航平教諭。特別支援学級を受け持つ
同校の情報主任を担当する川村航平教諭。特別支援学級を受け持つ

「Google 認定教育者」取得に向けた学びを校内研修に

 今回紹介する甲府市立石田小学校は甲府市の南部に位置する、6学年・全13クラスの中規模校だ。45年前の開校当時は1000人近くいた児童数も近年の少子化を受けて減少し、現在は250人ほどだという。

 同校がChromebook導入時に行った大きなチャレンジが「校長以下全教員が、Google 認定教育者の取得を目指して勉強する」という取り組みだ。2021年度まで同校の校長を務めていた雨宮氏は「本校はこれまでパソコンルームの稼働率が低く、『全国学力・学習状況調査』においても『ICTの活用頻度が低い』との回答が多かった。この課題が、2021年度のICT活用推進に向かうひとつのスタートになった」と、その経緯を話す。数年前に前任校の山梨大学教育学部附属小学校でフィンランドの教育現場を視察した雨宮氏は、海外の先進的なICT活用を目にし「日本の教育もこうなるのでは」と感じていたという。

 またChromebookの導入に先駆けた2020年時点で、同校の堀教諭が独自にGoogle 認定教育者 レベル1の取得に向けて勉強し、資格を取得したことも大きかった。堀教諭は取得を目指したきっかけについて、次のように話す。

 「学校現場にとっては未知の『GIGAスクール構想』が始まること、そして導入されるChromebookも、どのようなものがわからないという『困り感』が学校全体にあった。そこで校内研修の時間を使って、少しでも先生方にChromebookやGoogleアプリを使っていただけるような環境整備をしたいと考えた」(堀教諭)

 そして、受験のためにGoogle for Educationについて学んでいく過程で「大きな特徴とされている、多人数で同時に作業できる共同編集機能に魅力を感じた」という堀教諭は、「『ChromebookやGoogleアプリをどう使ったらよいかわからない』という教員全体の課題を解決するには、資格取得の経験こそが役に立つのでは」雨宮氏に進言した。

 「全員が試験を受けるとなると、先生方の協力なしではできない。まずは雨宮校長や管理職の先生方、学年主任、情報主任の川村先生などに集まっていただき、『このような方向性でやってみたい』ということを、熱意をもって伝えた」と堀教諭は話す。この熱意が伝わり、学年主任の承認が得られたことで、2021年4月に教員全員へ告知を行い、校内研究の時間を「Google 認定教育者 レベル1取得のための研修」と設定。資格取得に向けた取り組みがスタートした。

堀教諭が作成した企画書の一部。全62ページで、GIGAスクール構想からICT活用の意義までが解説されている
堀教諭が作成した企画書の一部。全62ページで、GIGAスクール構想からICT活用の意義までが解説されている

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情報主任の資格取得の課程をそのまま研修に応用

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、プログラミング教育やICT教育、中学受験、スマートトイ、育児などの分野を中心に、取材・執筆を行っている。また、渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足し、地域の子ども達に向けたプログラミング体験教室などを開催している。一児の...

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森山 咲(編集部)(モリヤマ サキ)

EdTechZine編集長。好きな言葉は「愚公移山」。

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