「Google for Education 認定イノベーター」の指導主事が甲府市のICT活用に尽力
山梨県甲府市は山梨県のほぼ中央にある県庁所在地で、甲斐の名将である武田信玄を祀る甲斐 武田神社を有する甲府盆地に位置する。人口は約18万6000人、市内には25の小学校と中学校11校、高校1校がある。
約1万2700台のChromebookが市内の小中学校に整備されたのは、2021年4月末のことだった。「年度最初からのスタートとはならなかったが、同年10月1日を甲府市の『ギガびらき』と位置付けて、それまでの5カ月間は教員の準備だけでなく、児童生徒も実際に利用して慣れることを目指した」と山主氏は話す。
2021年度に甲府市教育委員会の学校教育課に新設された「情報化推進係」の指導主事を務める山主氏は、2020年度まで市内の中学校で技術家庭科教員を務めており、その際に「Google認定教育者」のレベル1とレベル2の資格を取得していた。さらに、2021年度は「Google for Education 認定トレーナー」と、難関とされる「Google for Education 認定イノベーター」の資格も取得し、さらにGoogle教育者グループのひとつ「GEG甲府」のリーダーとして地元・甲府を中心にGoogle for Educationを活用する教育者のサポートを行っている。
教職員のICTスキル向上を目指し「Google for Education パートナー自治体プログラム」に参画
甲府市は、2021年10月からGoogle for Education パートナー自治体プログラムに参画した。このプログラムは「ChromebookやGoogle for Educationツールを使用し、革新的な学習環境づくりに取り組み、全国のICTリーダーを目指す自治体を支援する」もので、パートナー自治体はGoogle社のGoogle for Educationチームと協力してICTの活用推進を行っていく。さらに、ICT活用先進校の「Google for Education 事例校」である甲府市立城南中学校を中心に、市全体のICTスキルの底上げを図るとともに、市内外へ活用事例の発信をする。
「甲府市としてChromebookの導入が決まった際、GIGAスクール構想に関する膨大な資料を検討していく中で、私たちが描くGIGAスクール構想のあり方に最もマッチしたのが、Google for Education パートナー自治体プログラムだった」と、山主氏は参画の経緯を振り返る。特に決め手となったのが、Google for Educationチームから直接の協力を得られることと、教員向け研修の「Kickstart Program」だ。
「GIGAスクール構想においては多くの課題があったが、一番の課題であったのが、市内に約1000人いる教職員のICTスキルだった。幅広い年齢層の教員がおり、『1人1台の端末をきちんと授業で使えるのか』という不安を解消するために、実際に端末を活用する研修機会を増やす必要性を感じていた。私自身も各校をまわって研修を行っていたが、良質なKickstart Programの研修は現場の教員からも非常に好評だった」と山主氏は話す。
さらに山主氏は、もうひとつの魅力であった「Google for Educationチームと直接つながり合えること」について、「教育委員会として特に感じたメリットが、このプログラムに参画することで、全国の自治体のトレンドや、Googleの取り組みなどをスピーディに情報共有でき、大きな刺激にもなることだった。Google for Educationチームの担当者が毎月のミーティングにオンラインや対面で参加し、強力にサポートしてくれたため、『甲府市としてやってみたい』ことをすぐに相談でき、二人三脚で共に進んでいるように感じた」ことを挙げた。
その一例が城南中学校での取り組みだ。「週に1回、校内のICT部会にもGoogle for Educationチーム担当者が参加し、学校からの『このようなことをしたい』という希望を直接話すことができた。安心感と同時に、ここまでしてくれるのかと驚きも感じた」という。
※城南中学校の取り組みについては、連載2回目で詳しく紹介する。