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「情報モラル教育」はさけて通れない――子どもたちとITの適切な関係性

これから始まるプログラミング教育に対して保護者が出来ること 第5回

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2018/01/30 14:00

子どもたちがITを利用するにあたって、想定されるトラブルは?

 子どもたちがスマートフォンやパソコンを使い始めると、どのようなことが起きる可能性があるのでしょうか。

 例えば、何も制限しない状態や、いくらでもダウンロードできる状態のままで渡してしまうと、いろいろなアプリやゲームをダウンロードし始める可能性が高いでしょう。目の前に、多くのゲームがある状況では、好奇心の旺盛な子どもたちは、それを自制することは難しいと思われます。電車の中でも、多くのサラリーマンがスマートフォンでゲームをしている姿を見たことがあります。時間つぶしとは言え、いつでもゲームを始められる環境が目の前にあれば、ついついゲームを続けてしまう。ついついSNSで友だちとずっと話し続けてしまうでしょう。「これがおもしろいよ」と言われれば動画を見てしまったり、悪質なサイトへアクセスしてしまったりする可能性もあります。

 そして、見たこともない送り主から、不正請求の案内が届いてしまうケースも少なくありません。その通知が不正請求だとわからない場合、学校や保護者、友だちに知られたくないために、自分のお小遣いから支払いをしてしまったり、保護者のお金を盗んでまで支払ってしまったりといった被害を受けるかもしれません。

 では、お子さまたちがスマートフォンやパソコンを使うにあたって、どのような課題があり、どのように対策をしていく必要があるのでしょうか。

 文部科学省から委託された、株式会社情報通信総合研究所のまとめた「情報化社会の新たな問題を考えるための教材~指導の手引~」は、以下の4つの課題を示しています。

  1. ネット依存
  2. ネット被害
  3. SNSなどのトラブル
  4. 適切なコミュニケーション

 ネット上のゲームや、SNSをはじめとするコミュニケーションには、利用者がいつでもどこでもアクセスすることができます。インターネット上には常に誰か利用者がいて、いつでもゲームを一緒にできたり、SNSでは新しい情報が追加されたりします。現実社会よりも頻繁に新しいことや楽しいことが発生するインターネットに、深くのめり込んでしまうことがあります。

 また、リアルな世界ですと、危険な場所へ小学生が立ち寄ることは容易ではありません。人の目もありますし、危険な場所が子どもの行ける範囲にあって、そこへの行き方を知らないと、行くことはできません。一方ネットの世界では、行き先・行き方を知らなくとも、検索をすればすぐにその場所は出てきますし、クリック1つでアダルトサイトや危険なサイトにアクセスすることができます。こういった場所では、ネット詐欺やコンピュータウイルスによる個人情報の漏えいなど、ネット被害が待ち受けていることが少なくありません。

 そして、多くのネット利用者たちが、何らかのSNSを利用しています。人と人とがコミュニケーションを行う上では、現実社会同様、付き合い方・マナーが存在します。匿名であることで、誹謗中傷を繰り返す人や、脅迫まがいのことをする悪い利用者もいます。また、仲の良い友人同士でも、ネット上でのコミュニケーションがうまくいかず、いじめにつながるケースもあります。

 こういった課題に対して、文部科学省のみならず、総務省やNPO・NGOなど多くの団体が、どのように対処していくべきか示した教材を提供しています。ただ、さまざまな教材が、多くのところから出ているため、何をどのように子どもたちに伝えていけばいいか、保護者が子どもたちを守るために、何をすべきかがわかりにくい事情があります。

 そこで、これまで私たち夫婦が、娘たち4人に向けてどのような教育を行ってきたかを紹介します。保護者の方々の情報モラル教育の一助になればと思います。

ネット被害・ネット詐欺など、悪質な犯罪から身を守るためには

 インターネットを利用することで、ネット詐欺・不正請求やコンピュータウイルスへの感染などの被害が発生する可能性があります。また、出会い系などのサイトで犯罪者と会ってしまい、誘拐や性被害にあうケースもあります。こういったネット被害から身を守るためには、適切な利用方法を学び、正しく実行していく必要があります。

 まず、以下のような悪質コンテンツへのアクセスを制限できることが望ましいでしょう。これは、そのコンテンツの内容自体が教育上に悪いか否かということを論じるためではなく、このようなコンテンツをきっかけにして、ネット犯罪が発生しやすいと考えられているためです。

  1. アダルト
  2. 犯罪・暴力
  3. 自殺・家出
  4. 不正IT技術
  5. 出会い系
  6. ギャンブル
  7. 主張 (主に誹謗中傷やヘイト、いたずらなど)

 ※以上、i-FILTERのカテゴリーより抜粋。

 アダルトサイトでは、写真や動画を閲覧することで、不正に高額な金銭が請求されるようになっていたり、悪質な不正請求のサイトへリンクさせていたりする場合があります。アダルトサイトですと、自分がそのサイトへアクセスしてしまったことを、保護者や先生へなかなか話すことができず、子どもだけでなんとかしようとして、さらに深みにハマってしまうケースも少なくありません。子どもがアダルトサイトへアクセスしようとしてたどり着くケースだけではなく、犯罪助長・出会い系・ギャンブル関連などのサイトからリンクされている場合も多くあります。

 自殺・家出サイトや出会い系では、犯罪者からの甘い口車にのってしまって誘拐されたり、殺されてしまったりするケースがあります。実際にニュースになったものもありますので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

 まず、こういったサイトに行ってしまうような精神的に不安定な状態を作り出さないことも重要ですが、そもそもアクセスできないよう制限していれば、ネットでの被害にはあいにくいと考えられます。また、検索結果や普通のサイトからも誤ってリンクされているケースがあります。ですから、そのようなミスによってアクセスしてしまうことのないように、アクセス制限を行うことが重要と言えるでしょう。

 では、実際にアクセス制限を行うためには、どのような対策を実施すべきでしょうか。特定のWEBサイトへのアクセス制限を行うことを「Webフィルタリング」や「フィルタリング」と呼んでいます。一般財団法人インターネット協会では、専用サイト「フィルタリング、知っていますか?」で、フィルタリングとは何か解説した動画を公開しています。セミナーなども実施されていて、実施スケジュールも公開されています。また、実際にフィルタリングを行うためのアプリケーションについても情報がまとまっておりますので、より具体的な内容については、こちらをご確認ください。

 とは言え、このアクセス制限も万能ではなく、それでも悪質なコンテンツにアクセスしてしまうことがあります。私の娘も、一度ネット詐欺のサイトへアクセスしてしまい、不正請求を要求されたことがあります。私の家では、子どもたちへどのようなメールが来ているかがわかるようになっています。そのため、不正請求の要求メールが来たことを妻が発見し、この時は対処することができました。このように、アクセス制限が万能ではありません。普段からの情報モラル教育や、アクセス制限以外の利用制限なども組み合わせて対処しておくことが必要です。

 例えば、スマートフォンやタブレット、パソコンには「ペアレンタルコントロール」という機能が備わっています。特定のアプリケーションしか利用できないように設定したり、アプリやゲームのインストール制限を行ったりすることができます。

 また、情報モラル教育には、IPA 独立行政法人 情報処理推進機構の提供する情報セキュリティ普及啓発映像コンテンツなどもおすすめです。お子さま向けの動画も公開していて、一からネット被害対策を学ぶにはうってつけの教材です。大人向けのコンテンツも十分ですし、お子さまと一緒に動画を見ていただき、意見交換されると、より理解が深まるでしょう。


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著者プロフィール

  • 阿部 崇(アベ タカシ)

     外資系IT企業で、コンピュータシステムのアーキテクチャをデザインする仕事に従事。2017年度より区立中学校のPTA会長に就任。教育委員会や教師の方々と接する機会も多く、これまでの経験を活かして、プログラミング教育を広げていく活動をすすめている。

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