保護者と一緒にできる作業をWebサイトに掲載、課題提出にはSeesawを利用
この学校の幼稚園部には4歳から6歳の子どもたちが通う。ちょうど日本の幼稚園にあたり、クラス編成はさまざまな年齢の子どもが一緒に活動する縦割りだ。1クラスの子どもの数は約20人、国籍はさまざまだが授業は英語で行われる。
このインターナショナルスクールが休校となったのは、3月2日。オンラインの活用が始まったのはその2日後からだ。幼稚園部にとっては初めてのことだが、同校の小学部以上では休校前からオンラインを活用できる体制を整えていた。これが迅速かつスムーズな導入につながったようだ。
ただし、オンラインといっても授業になるコンテンツと作業のスペースをオンラインに掲載するもので、リアルタイムではない。子どもたち(保護者)はいつでもコンテンツにアクセスできる。
この先生の場合は1日2回、コンテンツを掲載している。まずは午前9時、最初のコンテンツを学校のWebサイト内にあるクラスのページに掲載する。
最初に、これまで毎日やってきたカレンダー作りを行う。月のカレンダーの今日の日付の欄に、天気を言葉と絵で描く。本来ならば、「今日はX月Y日、Z曜日で、天気は○○です」と言ってもらうところだが、家で言おうねという指導になる。
次に2つの学習コンテンツを用意した。1つは、ものの大きさの勉強だ。小さい(small)、中ぐらい(medium)、大きい(big/large)と分類することを学ぶ。子どもたちはまだ文章が読めないので、大・中・小を説明する3分程度の動画を挿入する。保護者と一緒に見ることを想定し、保護者向けの注意書きとして「子どもたちは”中ぐらい”という言葉の意味を知らないかもしれません」と入れた。
動画の下には、学びを深めるための作業を用意した。大きさの異なるイースターエッグが何個も描かれているワークシートを貼り付け、これを自宅でプリントアウトしてイースターエッグに自分の好きな色を塗り、「小さい」「中ぐらい」「大きい」の3つに分類する――これがこの日の作業の内容になる。プリンターで印刷できない家庭向けには、「家の中にあるものを探して、大きさに合わせて分類してね」と指導した。
2つ目は、読み聞かせ。この日はイースターを題材とした絵本を読んだ動画を用意した。絵本のこともあれば、学習に関係ある教材の読み聞かせ(数や色など)のこともあるという。長さは3~5分程度にしている。
午後1時に2回目の授業として、形を学ぶためのコンテンツを掲載した。年間を通じて平面と空間図形(立方体、球、円柱、円錐など)を繰り返し学んでおり、この日の作業は2種類以上の空間図形の組み合わせで生き物・生き物ではないものを探したり、作ってもらったりした。
このように、先生は1日2回、クラスのページにブログのような形式で新しい記事(授業)を載せ、子どもたち(保護者)はメールアドレスとパスワードを使っていつでも見ることができる。コンテンツを見た子どもたちは、学び、作業をして、それを保護者が写真や動画に撮って先生に送る。
ここで利用するのは、教育向けのデジタルプラットフォーム「Seesaw」だ。教師と児童生徒、教師と保護者とのコミュニケーションが可能で、このインターナショナルスクールでは全校レベルで利用している。子ども(保護者)が自分の作業をアップロードすると、先生に通知がくる。先生はそれに対し、フィードバックを送ることができる。