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イベントレポート(プログラミング教育)

映画「プログラミングのすゝめ」試写会で未踏ジュニアのスーパークリエイターが本音トーク!【未来の先生展2019】

「未来の先生展2019」プログラム「『スーパークリエイターがやってくる! 君もクリエイターにならないか?』映画試写会&トークショー」レポート

 9月14日と15日に、明治大学の駿河台キャンパス リバティタワーで開催された「未来の先生展2019」。200以上のワークショップや講演会などのプログラムに、多くの教育関係者や学生などが参加した。多数のプログラムから、今回は「『スーパークリエイターがやってくる! 君もクリエイターにならないか?』映画試写会&トークショー」の模様を紹介する。

スーパークリエイターの姿を多くの子どもたちへ届けたい

 このプログラムを主催したのは、大阪府吹田市と豊中市をカバーする「FM千里」でオンエア中のラジオ番組「こどもプログラミングニュース」だ。2018年7月から始まり、プログラミング言語「Viscuit(ビスケット)」の作者である原田康徳氏が特別講義をするなど、子ども向けにわかりやすいプログラミング情報を伝えている。

 同番組では2019年3月に未踏ジュニアのスーパークリエイターによる講演会「スーパークリエイターがやってくる! 君もクリエイターにならないか?」を、大阪府吹田市立東山田小学校で開催した。番組を担当しているCodeAid代表の水上裕樹氏によると、小学生たちが、歳の近い中高生のスーパークリエイターの話を聞くことができる講演会が好評だったことを受け、「多くの子どもたちに届けたい」という思いから、講演会の様子などをドキュメンタリーにした映画化に至った。

 映画は、2019年8月に出演者の小学生を募集して行った講演会と体験会をまとめたほか、講演会では見ることができなかったスーパークリエイターたちの素顔がわかるインタビューなどを収めている。

 今回の映画試写会では、2020年2月に予定されている公開に先駆けて、未公開映像を含む特別編が上映された。

2019年夏に、映画の撮影に向けて参加者の小学生を公募した。
2019年夏に、映画の撮影に向けて参加者の小学生を公募した。

映画「プログラミングのすすめ」とは?

 映画のタイトルは「プログラミングのすゝめ」。「映画を見ることで子どもがプログラミングにふれて、羽ばたいていくきっかけを作りたい」として、「本物のクリエイターが見たい子どもたちのために、全国からスーパークリエイターが小学生の講演会にやってきた」というストーリー仕立てになっている。

映画のプロローグは、こんな言葉から始まった。
映画のプロローグは、こんな言葉から始まった。
講演会で実際に使われた手描きの看板。
講演会で実際に使われた手描きの看板。
参加した100人の小学生。
参加した100人の小学生。

 「プログラミングのすゝめ」は、ドキュメンタリー映画ということもあり、登場する子どもたちの反応や言葉が非常にリアルだ。歳の近いスーパークリエイターたちとの出会いによってプログラミングへの興味が広がっていく様子が収められている。そのため、映画を観た子どもたちは同じように感動し、すんなりとプログラミングの予備知識を持つことができそうだ。

未踏ジュニアの本音が飛び出したトークショー

 試写会の後、開催されたのが、映画にも登場した未踏ジュニアのクリエーターによるトークショーだ。登壇したのは、2018年に採択された、東京都の三橋優希さん(高校1年生)と、愛知県の平野正太郎さん(中学2年生)。今回のトークショーには参加しなかったが、映画にはもう1人、高校生の末神奏宙さんも出演している。

落ち着いた話しぶりと機転で、会場をうならせた三橋さん。2018年の「第3回 全国小中学生プログラミング大会」ではグランプリを受賞している。
落ち着いた話しぶりと機転で、会場をうならせた三橋さん。2018年の「第3回 全国小中学生プログラミング大会」ではグランプリを受賞している。
プログラミングだけでなく「ものづくり」にもこだわり、「Maker Faire Tokyo」にも毎年出展しているという平野正太郎さん。
プログラミングだけでなく「ものづくり」にもこだわり、「Maker Faire Tokyo」にも毎年出展しているという平野正太郎さん。

 三橋さんと平野さんは、ともに2018年の未踏ジュニアに採択された仲間のため、トークショーでも仲の良い様子をうかがわせた。2人の聞き手は、プログラミング&STEM教室「STEMON」などを運営するヴィリング代表取締役の中村一彰氏が務めた。

教員免許を持ち、小学校でも授業を行った経験のある中村一彰氏。
教員免許を持ち、小学校でも授業を行った経験のある中村一彰氏。

スーパークリエイターが未踏ジュニアのプロジェクトを振り返る

 三橋さんが未踏ジュニアに採択され、スーパークリエイターとなったプロジェクトは「UTIPS - 家事の情報共有サービス」。「家庭の家事の方法を共有する」というコンセプトで、さまざまな家事のTIPSを投稿したり共有できたりするWebサービスだ。

 「同じ家事でも、ライフスタイルによってやり方が異なり、実は普段の家事にこそいろいろな工夫がある。しかし、そうしたやり方はみんな当たり前と感じていて、共有する機会がない」というところに着目し、試行錯誤の末に、Web上に個人の家事TIPSを共有できる場所を作ったという。

2018年の「未踏ジュニア最終成果報告会」で「UTIPS」のプレゼンを行う三橋さん(未踏ジュニアYouTubeチャンネルより)。
2018年の「未踏ジュニア最終成果報告会」で「UTIPS」のプレゼンを行う三橋さん(未踏ジュニアYouTubeチャンネルより)。

 未踏ジュニアに採択されて変わったこととして、三橋さんは「発表の場に向けて何度も練習したので、プレゼンが上達したこと」や、「参加することで過去の未踏ジュニアやPM(未踏ジュニアを指導する、各界のプロフェッショナル)とつながることができたこと」を挙げている。

 平野さんは、三橋さんと同じ2018年に「Let'sえいごパズル! - 変化するキューブで楽しく学ぶ英単語」というプロジェクトで未踏ジュニアに採択され、スーパークリエイターに認定された。

 「Let'sえいごパズル!」は、アルファベットが表示されるキューブを並び替えて英単語を作るゲームで、ソフトだけでなく、オリジナルのハードウェアまで作ったことでも注目を集めた。外部装置にブロック型のデバイスを使った理由として、「小さい子どもは、まだキーボードやマウスの操作に慣れてない。『ものを動かす』という動作が子どもは好きなので、画面の中で完結しないハードウェアを含めた作品を作った」と話した。

映画の中でも、「Let'sえいごパズル!」をはじめとした未踏ジュニアの作品が紹介されている。
映画の中でも、「Let'sえいごパズル!」をはじめとした未踏ジュニアの作品が紹介されている。

 未踏ジュニアでの経験を振り返り、平野さんは「いろいろな人に助けてもらったり、交流できたりしたことが一番大きい」と話す。さらに「他の人の発表を聞くことで、自分の改善点を改めて考えることができた。自分よりすごい人がたくさんいるので、そこから学んで成長できたと思う」と語っていた。ちなみに、プレゼン力については、平野さんはその成果かわからないとしつつも、今年初めて作文の学年代表に選ばれたというエピソードを披露してくれた。

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「プログラミングは独学で覚えた」

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この記事の著者

相川 いずみ(アイカワ イズミ)

 教育ライター/編集者。パソコン週刊誌の編集を経て、現在はフリーランスとして、教育におけるデジタル活用を中心に、全国の学校を取材・執筆を行っている。渋谷区こどもテーブル「みらい区」を発足しプログラミング体験教室などを開催したほか、シニア向けサポートを行う渋谷区デジタル活用支援員としても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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