デジタル人材共創連盟が目指すもの
経済産業省が2021年10月より実施していた「デジタル関連部活支援の在り方に関する検討会」。2022年3月には「Society5.0を見据えた中高生等のデジタル関連活動支援の在り方提言」が取りまとめられた。その社会実装を担うべく、7月5日に設立された団体がデジ連だ。
設立記念イベントの冒頭では、太田房江経済産業副大臣と簗和生文部科学副大臣が来賓としてあいさつした。太田副大臣は「デジ連がエンジンとなって、個人や企業、学校の授業などにおける若年層の活動を刺激し、日本全体のデジタル化を加速させてほしい。若い世代が大きく羽ばたくことを期待している」と期待を寄せ、簗副大臣も「デジタル人材の育成は産官学共通の重要課題。充実した環境のもとで学んだ若者たちが、日本の成長分野を牽引するITのスペシャリストや地域社会を担う人材として、将来その力を存分に発揮し活躍することを祈念する」と述べた。
また、 日本ディープラーニング協会の理事長である松尾豊氏も来賓メッセージを寄せた。
続いてデジ連の代表理事を務め、文部科学省在籍時には情報科の新学習指導要領策定にも携わった、京都精華大学 メディア表現学部教授の鹿野利春氏が事業概要を説明した。
鹿野氏はまず、2022年度から高校で必履修となった「情報I」の授業の内容に触れ、高校1年生全員がPythonによるシミュレーションなどを学んでいることを紹介。さらに2025年度からは大学入学共通テストに「情報」が教科として採用されることや、現在公開されているサンプル問題として身近な課題をプログラミングやデータ分析で解決する例を解説した。
鹿野氏は「高校生全員がプログラミングや情報デザインを学び、大学受験をする・しないに関わらず、卒業時にはプログラミングが日常のツールとして生産性の向上に役立つことを実感できるようになる。情報の授業で学んだことを活かし、よりよい社会の実現に向けて還元していってほしい」と語った。
グランドデザインとしては、小中学校で学んできた「プログラミング」と「算数・数学での統計的な考え方」が、高校の「情報」と「数学」で連携し、「データの活用」や「情報デザイン」につながっていく。それらはさらに「データサイエンス」や「社会課題の解決」「デジタルアート」に発展し、学校外の大会やコミュニティ、大学、企業の力を得ながら「資格取得」「アントレプレナーシップ」へと広がっていく。「これらの学びを得た子どもたちが、日本を引っ張っていけるような在り方を私たちは目指している」と鹿野氏は述べた。
そして「追い越せ、追いつけではなく、世界で誰も見たことがない日本ならではの新しいデジタル人材育成を実践し、学校や部活動、個人の活動についても支援していきたい。ぜひ、皆さんにもご協力いただきたい」と意気込みを語った。