簡単なIoTの体験を通じ、農業の楽しさを感じてほしい
次に、佐々木さんが農業IoTに興味を持ったきっかけを伺いました。
「大学では農業を専攻し、その中でコンピューターを活用することは身近なテーマでした。社会人になってしばらく農業とは離れた生活をしていたのですが、もう一度仕事としてやってみたくなったんです」
佐々木さんは農業の地位向上を目指して、日々お仕事をされているそうです。農業には深刻な人手不足や生産性向上、生産スキルの伝承といったさまざまな乗り越えるべき課題があります。
近年では、解決手法としてテクノロジーを上手に活用することに注目が集まり、農業IoTとして日本各地に広がっていきました。佐々木さんの経営するFagriが宮崎に本社を構えた理由も、付加価値性の高い園芸作物が多いことや、ビニールハウスを活用してコントロールがしやすいことなど、IoTによる新しい農業の場として最適だったからだと言います。
「農業には食べ物を育てる重要な役割があり、工夫すればするほど面白さや楽しさも増えていくし、事業として持続可能になります。IoTを活用することで、さらに楽しく、効率よく農業ができることを多くの人に知ってもらいたい。その思いから作り上げたのが、このIoTキッチンガーデンなんです」
新しい学びにつながるファーストステップとしての動画講座
この講座の一番の目的は「IoTを使って野菜を育てるのって面白い!」という経験をしてもらうことだと言います。YouTubeなどで無料公開することも検討されたそうですが、より多くの方に手を動かして作ってもらうことを意識して、Udemyに掲載することを選びました。
「Udemyはパワーポイントを使って基板接続の方法などを詳細に説明できますし、講師に質問する機能もあります。『講座をシェアする』コンセプトで使いやすい機能が多いのもポイントですね。それらの機能を活用して、動画の通りに手を動かせば作れる講座を心がけました」
「私を含め、Udemyの講座はいずれも『学ぶ』というよりも、『やってみる』といったモチベーションのものが多いですね。作る側が『教える』のではなく、『実際にやってみて、その過程を細かく紹介する』といったスタンスに近いです。なので、もっといろいろなことを紹介したくなりますね」
今後の発展型としては、「蓄積されたデータを分析して、検証や実験などを行ってみたい」と佐々木さんは話します。
「例えば、カメラで苗の様子を撮影し、高さを記録し続けることで成長速度も分析可能になります。そして他のセンサーデータと比較することで、どの野菜がどのような条件なら生育が良いか、推測することもできます。
成長速度が測定できるようになれば、さらにさまざまな実験ができると思います。種を変えてみたり、条件を変えてみたり。現在は培養用の土を使用して栽培していますが、水耕栽培なども試してみたいですね。『野菜そのものの完成形を作ること』が目的ではないので、試行錯誤や失敗も含めてリアルな情報公開を行い、『自分でもやってみたい』という思いをさらに喚起させるような内容にしていきたいです」
以前であれば最新のテクノロジーは高額かつ複雑で、なかなか手が届くものではありませんでした。しかし現在は、キットやノウハウが手軽に手に入るようになったことで、IoTのような最新技術を簡単に体験できます。また、データを分析して普段の生活の中で生かす機会はなかなかありませんが、本講座のようにちょっとした実験の場を持つことで、データを見ながら試行錯誤する楽しさを知ることも可能なのです。
「スモールステップで試行錯誤しながら小さな成功を楽しみ、失敗からも何らかの学びを得て改善する体験は、すごく価値のあることだと思います。私自身、その実感を得られたのは『やってみた』から。IoTやデータ分析、そして少しでも興味を持った方には、ぜひはじめてみてほしいですね」
「IoTキッチンガーデン講座」の詳細はこちら
他にもUdemyにはさまざまなプログラミング講座が公開されています。あなたにぴったりの講座を探してみてはいかがでしょうか?