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好事例から解き明かす、大学経営とデジタル人材育成

【宮崎大学】地元企業との強力タッグによる地域コンソーシアムの成功事例

好事例から解き明かす、大学経営とデジタル人材育成 第3回

地元企業との強力タッグと熱意が成功の秘訣

 本コンソーシアムの最大の成功要因は、何と言っても宮崎大学と地元企業の強力なタッグ(連携)にある。一般的に地方の場合、デジタル化・DXに関するノウハウ、またデジタル人材育成に関するノウハウは、地元の国立大学と有力な地元企業の2カ所に蓄積されていることが多い。宮崎県の場合、宮崎大学と旭化成である。それゆえ、両者がタッグを組み、関係者が熱意を持って本気で取り組めば、これだけのことができるのである。ほかの地方で地域型コンソーシアムがうまく機能しないのは、この連携と熱意が不足しているのであろう。

 ただし、本コンソーシアムにも課題はある。筆者が考える最大の課題は事務局負担の増大である。これだけのプログラムを維持・拡張・進化させていくには多大な労力が必要である。現在、事務局はボランティアで活動していると聞くが、時が経ち、担当者が代替わりしても持続的に活動できるような仕組みづくり(会員制など受講者の有償化を含めたビジネスモデル構築)が必要だと考えられる。

 また、企業向けにカスタマイズ型の研修を実践するためにはコンサルティング能力のある人材が必要であり、その人材確保も課題である。今後新設されるAI活用講座では、旭化成でデータサイエンス教育の経験を持つ講師が企業ごとにヒアリングして研修を担当すると聞くが、そういった人材を今後どのように持続的に確保していくかが課題である。

今後の取り組み

 まず喫緊の取り組みとして、本コンソーシアムを法人化(一般社団法人)したいと田村教授は言う。私が大学を訪問した際にも、ちょうど法人化の準備をしているところであった。法人化して社会的な信用を得るとともに、このプログラムを持続的な活動にしたいとの思いであろう。

 また、本コンソーシアムの活動は、旭化成の本拠地である延岡市を中心とした県北地域からスタートしたが、今後の展開として県北地域から宮崎県全域へ活動の拡大を目指したいという。ちなみに、社会人向けのeラーニングであるレベル1講座については、県外からの問い合わせも増えており、全国への展開も視野に入れているという。

 さらに取り組みたいことは、高大連携だと田村教授は言う。「県内に17校あるDXハイスクールと組織的に連携したいと考えています。一部の高校からは授業での活用希望があるものの、本格的に展開するには、高校生や教員、県の教育委員会などさまざまな立場の人々の理解を得るとともに、連携するにふさわしいプログラムを提供する必要があります」筆者も地域コンソーシアムとDXハイスクールとの連携は初めて聞く話であり、非常に興味深い内容だと感じた。

 以上、田村教授が述べていた今後の取り組みの一部をご紹介したが、田村教授の頭の中にはほかにもまだ、さまざまなアイデアがあふれているようだった。その熱意には頭が下がる思いである。

 今回、宮崎大学を訪問して田村教授と対面でお会いしたことは、筆者にとって非常に有意義であった。なぜなら、田村教授の熱意を直接肌で感じることができたからである。今後もこの熱意が続く限り、本コンソーシアムの進撃は止まることはないだろう。筆者も陰ながら本コンソーシアムの活動の進展を応援したい。

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この記事の著者

角田 仁(ツノダ ヒトシ)

 1989年に東京海上火災保険に入社。主にIT部門においてIT戦略の企画業務を担当する。2015年からは東京海上のIT企画部参与(部長)および東京海上日動システムズ執行役員。2019年、博士号取得を機に30年間務めた東京海上を退職して大学教員へ転じ、名古屋経済大学教授や千葉工業大学教授を歴任した。現...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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