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EdTechZineオンラインセミナーは、ICTで変わりつつある教育のさまざまな課題や動向にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「EdTechZine(エドテックジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々の教育実践のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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イベントレポート(ICT活用)

小中高それぞれの学校現場で「GIGAスクール構想」はどう捉えられているのか? 有識者と現状を語り合う

「第5回 ソフトバンクGIGAスクールサミット 第1部 GIGAスクール構想の現状」レポート

 8月18日、「ソフトバンクGIGAスクールサミット」が開催された。5回目を迎えるこのイベントは、学校・教育委員会・業界有識者が自由に語り合うアットホームな雰囲気が特徴だ。今回は前編・後編の2本立てで、同イベントで語られた「GIGAスクール構想の『現在』と『未来』」をレポートする。前編の本稿では、認定NPO法人ほっかいどう学推進フォーラム 新保元康氏、東北学院大学 稲垣忠氏、埼玉県教育局 鈴木陽子氏、奈良市立平城東中学校 永田光恵氏、奈良県教育委員会事務局 藤川由佳氏、ファシリテーターとして奈良教育大学大学院 小﨑誠二氏が登壇した「GIGAスクール構想の現状」セッションの模様をお伝えする。

「GIGAスクール構想っていつ終わるんですか?」という声も……

 イベントの冒頭、ファシリテーターの小﨑氏は「そもそもGIGAスクール構想の『GIGA』が何の略語なのかを、奈良県内の201名の先生に聞いた結果」を紹介。正解は「Global and Innovation Gateway for All」なのだが、これを正確に答えられた教員はわずか2名だったという。

奈良教育大学大学院 小﨑誠二氏
奈良教育大学大学院 小﨑誠二氏
「GIGA」が何の略語か、96%の人は答えられず、3%の人は回答を間違っていた。1%の人のみが正解する結果となった
「GIGA」が何の略語か、96%の人は答えられず、3%の人は回答を間違っていた。1%の人のみが正解する結果となった

 この話を皮切りに、小中高それぞれの学校に関わる登壇者に向けて、小﨑氏は「実際の学校現場でGIGAスクール構想がどのくらい話題になっているか」と問いかけた。これに対し、登壇者3名からは以下の通り回答があった。

 「小学校では端末の活用が日常化しているものの、NEXT GIGAで端末が入れ替わるという話はあまり知られていない」(奈良県教育委員会事務局(小学校籍)藤川氏)

奈良県教育委員会事務局(小学校籍)藤川由佳氏
奈良県教育委員会事務局(小学校籍)藤川由佳氏

 「コロナ禍だから端末が配られた(それがGIGAスクール構想)と思われていたようで、現場からは『これ、いつなくなりますか?』と聞かれている」(奈良市立平城東中学校 永田氏)

奈良市立平城東中学校 永田光恵氏
奈良市立平城東中学校 永田光恵氏

 「埼玉県の高校は、そもそも各家庭の負担で端末を購入してもらっているので、GIGAスクール構想とはかけ離れた場所にある(つまり、ほとんど話題にならない)」(埼玉県教育局 鈴木氏)

埼玉県教育局 鈴木陽子氏
埼玉県教育局 鈴木陽子氏

 このうち、中学校に関する永田氏の回答に対しては、小﨑氏も「自分のところにも『NEXT GIGA』は端末が回収されて元通りになることだと思った、という声が届いている」と答え、そもそも何のために学校に高速ネットワークと1人1台端末が配備されたのか、その目的があまり共有されていない実態が浮き彫りとなった。

 次に小﨑氏は、GIGAスクール構想自体に対する印象について「ポジティブか・ネガティブか」と聞いたところ、登壇者からは以下のような回答があった。

 「ポジティブとネガティブが半々というよりは、ちょっとポジティブが多いかなとの印象」(奈良県教育委員会事務局(小学校籍)藤川氏)

 「一部、先ほどのようなネガティブな声はあるが、全体としては端末を便利に活用しているポジティブな声が多い。ただ、その『便利』というのは教える側の都合が強い印象」(奈良市立平城東中学校 永田氏)

 「そもそもGIGAスクール構想があまり浸透していない上に、高校は各教科の先生の裁量に任せられている部分が多く、まだネガティブな声が多いかもしれない」(埼玉県教育局 鈴木氏)

 このように学校現場の目線ではまだ「浸透している」と断言ができない部分もあるGIGAスクール構想だが、認定NPO法人ほっかいどう学推進フォーラムの新保氏は、直近でフランスに訪問し学校見学をした際、学校全体で端末が50台程度しかなかった様子を報告。

認定NPO法人ほっかいどう学推進フォーラム 新保元康氏
認定NPO法人ほっかいどう学推進フォーラム 新保元康氏

 これについては東北学院大学の稲垣氏も「世界的に見て、ここまでの整備を一気に進めた事例はほとんどない」とした。このように、GIGAスクール構想によって「1人1台」では世界をリードする環境を手にした日本だが、この後の議論では2つの大きな課題が浮かび上がることになる。

東北学院大学 稲垣忠氏
東北学院大学 稲垣忠氏

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この記事の著者

野本 竜哉(EduOps研究所 代表)(ノモト タツヤ)

 情報工学修士。高校生時代に自身が1人1台の端末環境で学んだ経験を世に広げるべく、通信企業の学校SE、教育企業の管理職、教育系システム会社の執行役員を歴任し、一貫して教育×ICT領域の事業に従事。2024年8月に独立し「技術をやさしく伝える」をモットーとした教育現場の取材・執筆・情報発信活動の傍ら、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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