本記事公開時、広尾学園の前身となる学校名の表記に一部誤りがありました。「純心女子学園」ではなく、正しくは「順心女子学園」です。お詫びして訂正いたします。(2023/06/08 14:29)
生徒数が激減した当時の課題は何だったのか
広尾学園の前身である順心女子学園は、1989年には1740人の生徒が在籍していたが、その数は年々減り続け、2006年には学則定員の約3分の1である530人にまで落ち込んだ。
大学卒業後から外資系企業でマーケティング業務を担当していた池田氏は、2006年に順心女子学園に入職し学園の改革に着手した。そして翌年2007年に、校名を現在の広尾学園中学・高等学校に変更。その年より生徒数は増え始め、改革着手から4年後の2010年には1576名というV字回復を実現した。その後、池田氏は2017年に同学園の理事長に就任し現在に至る。
同学園は東京都港区南麻布に所在し、 創立105年の歴史を持つ私立の中高一貫校だ。中学校と高校を合わせた学則定員は1500名で、生徒は本科・医進サイエンス・インターナショナルの3コースのいずれかに所属している。
池田氏は2006年当時を振り返り「そのころは女子校の数が多かった。そうした中、順心女子学園は特徴が少なく、大学進学実績も芳しくなかった」と当時の状況と学園の弱みを語った。一方で、同学園には強みもあったという。1つ目は、港区の広尾駅から徒歩1分という立地だ。また英語教育にも力を入れており、50年前から帰国生を受け入れていた。さらに、やる気があり優秀な教員陣がそろっていたことも強みとして強調。「これらの強みをうまく生かし切れていなかった」と池田氏は述べた。
学園をV字回復に導いた3本の改革軸
具体的な改革の内容を解説するにあたり、池田氏は学園の強みであった「立地」とその周辺環境に言及した。日本には153カ国の大使館があり、そのうち同学園のある港区には82カ国、また隣の渋谷区にも23カ国の大使館がある。さらに、港区には多くの外資系企業や上場企業が拠点を構えており、その影響で外国人や帰国生の子どもがいる家庭が多いという。
これらの特徴を踏まえて、池田氏は「学園の改革のために『共学化』『インターナショナルコースの設置』『先進的教育の進学校化』の3つの方向性が見えてきた」と述べた。