本記事では、プログラミングできるスケッチブック「Springin’ Classroom(スプリンギンクラスルーム)」を使用しています。
ワクワクを生み出す教材づくり
STEAM教育で大切なことは、探究や創造の過程において、いかに「ワクワク」できるかということ。スプリンギンクラスルームを通じてSTEAM教育に取り組んでいくため、しくみデザインではこのワクワクを生み出す教材開発に取り組んできました。STEAM教育者である中島さち子さん監修の元、これまでスプリンギンクラスルーム×STEAMの教材を60本開発・リリースし、全国の教育機関で使っていただいております。
教材開発をする仲間には、しくみデザインのスタッフと、そして、現役の先生方がいらっしゃいます。今回は、開発に関わっていただいた松﨑先生に、現場の先生の目線も加えて教材づくりのポイントを紹介していただきます。それでは、松﨑先生お願いします!
小学校教諭、STEAM教材開発に挑む
みなさんこんにちは、松﨑です。小学校の教員ですが、現在、長期社会体験研修員として、しくみデザインで研修をしています。半年間、STEAM教育家の中島さち子さんに監修していただきながら、しくみデザインのスタッフの方々と共に4~8歳の幼児・児童から学習できるSTEAM教育教材を開発してきました。今回は、STEAM教育に取り組もうとされている教育関係者のみなさまに向けて、教材開発を通じて学んだ、STEAM教材づくりで重要となるポイントを紹介します。教材づくりだけでなく、教育現場での日ごろの実践などにもお役に立ていただければ幸いです。
「学びとらせる」ではなく「ワクワクしながら一緒に探究する」
教材の開発がスタートした当初、そもそもSTEAM教育について間違えていたことがありました。それは、STEAM教育の捉え方です。STEAM教育の「教育」の部分に注目しすぎるあまり、何かを学びとらせる教材でなければならないと考えていました。しかし、中島さち子さんから「STEAM教育は、学習者も先生も科学者・研究者(作り手)のように考えて、みんながワクワクしながら探究していく教育である」と助言を頂き、教材開発の方向性が大きく変わりました。
探究する余地を残す
開発した教材の中に「シーソーをたのしもう!」という教材があります。
これは、スプリンギンクラスルームに備わっている重力のプログラムを使って、シーソーをつくり、動物の重さを比べる教材です。
スプリンギンクラスルームでの質量は、描いたモノの大きさに比例するように設計されています。よって、上の画像のようにゾウとネズミを天秤にかけた場合、大きく描いたゾウの方に傾きます。「釣り合わせるためには、どうしたらいいかな?」と子どもと考えた場合、研究者になりきって探究する活動が始まります。
ネズミを増やす、ゾウの位置を変えるなどの方法が考えられます。もしかしたら、ネズミをゾウより大きくしたり逆にゾウを小さくしたりするといった、現実では試せないことを始める子がでてくるかもしれません。また、自分で工作してシーソーを作ったり、近くの公園などにあるシーソーを使ったりして、実際にどのような動きをするか試す子も出てくるかもしれません。教材の中ですべての学びを完結するのではなく、教材を活用してもらう側に探究の「余地」を残し、先生にも子どもにも探究するきっかけをつくる(STEAM教育を楽しんでもらう)教材づくりを心がけるようにしました。