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直感的に作品をつくれる「Springin’」でプログラミング教育

【特別支援学級×プログラミング教育】自立のためのゲームづくり

直感的に作品をつくれる「Springin’」でプログラミング教育 第14回

 こんにちは。しくみデザインの中村俊介です。学校の先生や指導者の方に向けて、無料のビジュアルプログラミングアプリ「Springin’(スプリンギン)」を使ったプログラミング教育のアイデアやテーマを考える連載の14回目。今回は、特別支援学級の子どもたちに向けて、スプリンギンを使ったプログラミング学習にチャレンジします!

 本記事では、教育機関・教室・塾の指導者向けSTEAM・プログラミング授業支援サービス「Springin’ Classroom(スプリンギンクラスルーム)」を使用しています。

特別支援学級に在籍する児童の現状

 2020年より小学校でプログラミング教育が実施されています。特別支援学級も例外ではありません。現代の子どもたちは、幼少期から保護者の携帯電話やパソコン、タブレットなどに触れる機会が多く、液晶タッチパネルの扱いを身につけている子どもも多いと思います。パソコンやタブレットには親しみがあり、家庭ではゲームや動画視聴などに利用しています。学校においても、既存のアプリケーションを使って計算や文字学習を楽しんでいます。しかし、プログラミング教育として、具体的にどのように教育活動の中へ取り入れていくかは模索段階だとよく耳にします。

 文部科学省によれば、義務教育段階の全児童生徒数は減少傾向にあるものの、特別支援教育の対象となる児童生徒数は増加傾向にあります。また、特別支援学級に在籍している児童生徒の実態も非常に幅があると思います。教育内容も多岐にわたり、「いかに実態に応じた教育内容を小集団の中で取り組んでいくか」ということが課題となっているのではないでしょうか。

 今回も、現役の小学校の先生である杉田先生にお話を伺いました。今回紹介いただいたのは「特別支援学級でのプログラミング教育」。1年生から6年生までの個性豊かな集団に対して、ゲームづくりを通したプログラミングの学習を行います。子どもたちの創造性豊かな発想や異学年での対話の様子がとても楽しみです。また、プログラミングのどの過程が子どもの自立とつながるのかも非常に気になります。それでは杉田先生、お願いします!

特別支援学級でのプログラミング教育

 みなさんこんにちは、杉田です。小学校の教員ですが、現在、長期社会体験研修員として、しくみデザインで研修をしています。先日、ある学校の特別支援学級にお邪魔して、プログラミングの授業をしてきました。今回はそこでの実践の様子を紹介します。

 前回は、理科での1人1台端末を活用したプログラミングの実践を紹介しました。今回は、特別支援学級でのプログラミングの実践です。個性豊かな異学年集団に対してのプログラミングの学習。意欲的に活動ができるのか、自然な対話は生まれるのか、自立活動につながるプログラミングとはどのようなものかについて紹介します。最後まで、どうぞよろしくお願いします。

「プログラミングとは何か?」を説明

 まず、導入として「プログラミングとは」についてスライド資料を使って説明していきました。身の回りのたくさんのものにコンピューターが使われていることや、人間とコンピューターの違い、コンピューターにはプログラミングが必要なことなどについて、ていねいに説明していきました。

授業で使用したスライドの一部
授業で使用したスライドの一部

 子どもたちは「コンピューターにやってほしいことを伝えるため、プログラミングが必要であること」「細かく順番に伝えないと意図した通りには動いてくれないこと」一方で、それさえきちんとできれば「速く・簡単・正確に自分の願いを実現してくれる便利なもの」であることに気づくことができました。

 プログラミング教育の実践時、この導入部分が欠けていることも少なくありません。プログラミングツールを使って何かの活動をすることはあっても「そもそもなぜプログラミングが必要か」を子どもたちが理解していないのです。これでは、活動意欲も高まらない上に、ほかの教科・領域へのつながりも少ないでしょう。

 特別支援学級での授業では、「なぜ」の部分が理解できずに子どもたちの活動が前に進まないこともあると思います。特別支援教育では、この「なぜ=壁」を解決することが自立への第一歩だと私は考えています。そして「壁を乗り越えようとすること=自立」と思っています。しかし、その壁が高すぎては諦めてしまいます。また、壁の先の世界を知らなければ乗り越える意味を見つけ出せません。壁の先にある魅力的な世界を見せること、壁を乗り越える意味を伝えること、これが先生の役目ではないでしょうか。

ゲームづくりでプログラミングの学習

完成ワーク
完成ワーク

 「ゲームをやるのは楽しい」。多くの子どもたちはこう言います。しかし、実際にゲームをつくる経験をした子どもは極めて少ないのではないでしょうか。ゲームもプログラミングによってつくられていることに気づいた子どもたちは、ここからゲームづくりの活動に入っていきます。

 スプリンギンでは、初めから用意されたアイテムは1つもありません。使いたいアイテムはすべて自分で描いてつくっていきます。この点が、特別支援学級の子どもたちにはよかったようで、自分の描いたアイテムが動いたり、回ったりして思い通りに動くところに魅力を感じているようでした。この「必然性」がここでのポイントです。もちろん、思いのままに動かすためには正しいプログラミングが必要になってくるため、何度も何度も自分の願いを実現するために試行錯誤していきます。そして、友だちの作品も気になり、そこに自然な対話が生まれます。途中からは、指導者の私をそっちのけにしてゲームづくりに熱中する子どもたちの姿がありました。しかし、これこそがまさに子どもの意欲に満ちあふれた姿だと私は思います。

熱中して何度も試行錯誤する子どもの様子
熱中して何度も試行錯誤する子どもの様子
自然に生まれる対話
自然に生まれる対話

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自分の願いをかなえるために必要なプログラミング

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この記事の著者

中村 俊介(株式会社しくみデザイン 代表)(ナカムラ シュンスケ)

 株式会社しくみデザイン代表、クリエイティブ教育ラボ所長。  名古屋大学建築学科卒業後、九州芸術工科大学(現九州大学)にて博士号(芸術工学)を取得。AR楽器アプリKAGURAをはじめ、参加型サイネージや、ライブコンサートのリアルタイム映像演出等、数々の日本初を手がけており、アメリカ、スペイン、中国...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


杉田 直育(スギタ ナオヤス)

 小学校教諭(指導教諭)。2021年4月から長期社会体験研修員として株式会社しくみデザインで勤務。Springin’を使ったプログラミング教育やSTEAM教育の普及活動を幼稚園や小学校を中心に実践中。「コンピューターと仲良しになる」これをスローガンに日々精進。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です


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